S-A77TN(仮)


経緯
パイオニアのスピーカーにS-A77シリーズという物が有ります。
頑強なキャビネットと強力なユニットを使用したAVスピーカーですが、ピュアオーディオに向いているハイCP機です。
そのスピーカーのポイントは各機種に使用されている13cmの同軸ユニットです。
アラミド繊維の13cmとセミドームツィーターの2ウェイで300Hz〜50KHzを受け持つワイドレンジユニットです。
ほとんどの可聴域を1箇所から出せるのは大きなメリットだと思います。
このユニットは補修パーツとして入手可能でしたので入手し、測定してみると、もっと下から使う事が出来そうです。
そこで、本来はミッドハイ用のユニットをフルレンジとして全域で使用してみようと思いました。
勿論、耐入力や低音は制限を受けると思いますが、意外に使えるレベルになるのではと期待しています。

テスト箱17リットルバスレフ)に入れて軽く測定してみました。
ミッドのみ

5KHzのピークは測定よりも強く聴こえる印象、カットして使いたい

ツィーターのみ

ミッドに比べるとレバルが高くてアッテネーションが必要な感じ

ミッド+2.2uFツィーター

特性は割りにフラットですが、喧しい感じの音

設計
裸のfoを測定してみると約160Hz、スコーカーとしては低い目ですけどフルレンジとして使うには不安な感じも有ります。
フォステクスの8cmユニットより高いfoですが振動板の面積は圧倒的に広いというのが救いです。
Qoの値は不明、低い目なのは確か、いっそバックロードホーンに入れて低音の補強とユニットのストロークを助けてやるのも面白いかもしれません。
大がかりな箱を作って失敗するのはダメージが大きい(昨日のゴブラ等)ので、今回は小さなバスレフで行きます。

振動板の有効面積の半分以上の大きい目のダクトで、低音を大幅にアップさせます。
なおかつ小さい目の箱(約5リットル)に入れて中低域もアップさせます。
ダクトの長さは45cmにも達しますが、共振周波数は67Hzです。
低音の出過ぎの場合は、ダクトの入り口(ユニット側)にグラスウールを詰めてダンプトバスレフにしましょうか。

ネットワークに関しては、箱が完成してからカットアンドトライで調整します。
ミッドをスルーでツィーターにコンデンサー一発と言うのが理想(安上がり)ですが、テスト箱の視聴では厳しい感じです。

図面を見る

組み立て
仮組みして気づいたミスが有ります。
板取の指定サイズの間違いで、カットした東急ハンズには責任は有りません。
バッフル板の長さが260mmと所を270mmに成ってる事と、ダクトを構成する165mmの板を175mmと指定していました。
ミスのままで組立てるとすると、ダクトのサイズは150x15mmになってしまいます。
この場合ダクトの共振周波数は約50Hzと低すぎる感じがします。
カットを修正するか、このまま行くか悩みましたが、面倒なので、このまま行く事にします。

ユニットは何度も取り外しそうな予感が有りますので、T字ナットと6角のボルトでの固定にします。
ターミナルの穴は後日開ける事にして、ネットワークが決まるまではダクトからケーブルを引き出す事にしました。

組立ては簡単、バッフル板と背板に短いパーツから接着して固定していき、前後を接着したら、左右の側板で挟むだけです。
サイズも小さいので、釘を使わず、木工用ボンドとハタガネだけで組み上げました。

設計図と異なるのはダクトの幅だけでは無く、天板の補強板も意外に短かったので、垂直に接着しました。

ネットワークの決定には時間を費やしました。
ミッドユニットには5KHzにピークが有り、これをカットして使いたい所です。
しかしメーカー指定どおりの3KHzクロスを考えた場合、-12db/octでカットして何とか消える感じです。
ミッド側に1.5mH+8.2uF、ツィーター側に4.7uF+0.28mH程度で綺麗に繋がりそうです。
ベストなのは上記設定に5KHzのピークキャンセラーを入れるって事でしょうが、ネットワーク代が馬鹿になりません。
せっかくSA-77TN、タイニーモデルって事なのに、あんまり費用を使いたくありません。
妥協のネットワークとしては、ミッド側に1.0mHのコイルを入れ、ハイ側に2.2uFのコンデンサーあたり。
この場合で若干1KHz辺りが薄くなるものの、音量を上げても五月蝿くならないギリギリの所だと思います。

しかし、あえてミッド側をスルーで使ってしまう事にしました。
ミッドをスルーで使うと、1KHzの中抜け感は無くなりますので、バランスが良いのです。
ボリュームを上げると、中音の五月蝿さや濁りが気になって、ボリュームを下げたくなります。
ただ、良く考えてみると、もともと低音にパワーが入らないし、大音量で聴くスピーカーでも有りません。
それならば、5KHzのピークも、それ程気にならないのです。

「ミッドはスルーで、ツィーターは2.2uF一発で」
パイオニアの技術者が聞いたら、ひっくり返りそうなネットワークです。(笑)
万人向けに設計しなくては成らない技術者には思いつかない選択ですけど、それが出来るのも自作の良い所と思います。
コンデンサーはエポキシボンドでユニットの背に接着しました。

ターミナルは最近のお気に入り、YHB-15です。
直径6mmの穴を2つ開けるだけで、箱の強度を損なわない所が良いです。

吸音材は、天板と側板の片一方だけにフェルトを貼り付けました。

塗装は120番、240番のペーパーで平らにした後、油性のニススプレーを数回吹き付けました。
工作精度が高かったので、なかなか綺麗に仕上がりました。

視聴
完成サイズは幅18cm、高さ30cm、奥行き22cm、重さは5.7Kgとなりました。
S-A77BSに比べると半分くらいの感じです。
板の厚みは15mmですけど、サイズ的にも構造的にも強度は十分、ガッチリしています。

さて、肝心の音ですけど、やはり低音はかなり寂しい感じがします。
パワーも入れないならアンプ側で低音をブーストして使う事になるでしょう。
中高音には多少の五月蝿さが有りますが、歪感と言う程では無く、「元気良過ぎ」って感じです。
全域に亘ってのスピード感は、ネットワークの軽さも手伝って本家パイオニアのS-A77BS以上かもしれません。
フルレンジにホーンツィーターをプラスした感じの生き生きとしたサウンドで、なかなか爽快です。

ボリュームを上げると五月蝿いので、近くで低音を上げて静かに鳴らすサブスピーカー専用になります。
複雑なネットワーク(上記12dB/oct)で使用するのが本当でしょうけど、此方でも実用になります。

設計時のミスは有ったものの、低音不足も想定内に済みましたし、組立てや塗装も上手く行った方です。
費用や手間も考慮すれば、満足度は85%って所でしょうか。
この同軸ユニットの中高音は、結構好みなので、ウーファーを追加して「普通の」使い方もしてみたい気がします。

測定
まだです。
高さ60cmの台に乗せ、軸上50cmでの測定

自宅の測定では低音が多い目に出るので、この状態はかなり低音不足です。
200Hzからダラ下がりで、トーンコントロールの手助けは必要。


ダクト直前での測定
共振周波数(約50Hz)辺りでキチンと動作しているのが判ります。
200Hzにピークが出ているのは、ダクトの形状(同一長の折り返し)から来ているのでしょか。

2007年01月11日更新
がらっと計画のミッドハイで使用する関係で、バイワイアリング使用が出来るようにターミナルを追加しました。
これに伴い、ネットワークは外付けで対応する事になります。


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