設計
オーディオの進歩は約30年前に人の能力を超えていて、それ以降は「人の好み」の問題だと考えています。
アンプ、CDプレーヤー等に比べると、スピーカーの個性は、とびっきりです。
アンプやCDプレーヤーを交換しても、気が付かない人が居ると思いますが、スピーカーを変えて気が付かない人は居ないでしょう。
さて、最近エレクトロボイスの205-8Aと言うユニットを入手しました。
もともと拡声器目的で生まれたユニットらしく、中高音に強い張り(ピーク)が有ります。
騒音の中、人の声を遠くに届かせるには良いと思いますが、オーディオ用途としては、マイナスに働くと思います。
とは言え、「これがアルテックサウンドだ!」と評価する方も多く居ます。
その個性的なユニットを、個性的な箱で鳴らしてみようと思いました。
テスト用の20リットル箱に入れて鳴らしてみると、低音不足が気になります。
もう少しコンパクトな箱に入れたバスレフあたりが妥当な所でしょう。
勿論、今回そんな箱を作るつもりは毛頭無く、最初からバックロードホーンか共鳴管かと決めていたのですけど。
バックロードホーンの作例は有ったとしても、共鳴管の作例は少なかったと思うので、今回は後者で行きます。
また、ユニットの詳しいスペックが判らないので、管の長さと太さで特性が決まる共鳴管は方式としても悪くないと感じます。
箱の設計は、ネッシー式のデザインは好きでは無いので、一見普通のトールボーイです。
180度の1回折り曲げ、ユニットの取り付け位置は、畳に胡坐をかいても聴ける、下から825mm。
共鳴管の一本目が1530mmで、ユニットは、そのど真ん中になります。(特に音質的な意図無し)
共鳴管の太さは、最初が120平方cmで 最後が150平方cmと徐々に広がっていくタイプです。
管の長さが約3m、共振周波数は約28Hz、管の面積はユニットの有効面積の2.2〜2.7倍。
背の高い箱を安定させるために、台の部分にはセメントを詰めます。
バスレフに比べると低音がダラ下がり、共振点あたりにピークを作る特性になると思います。
中高音には、容量によるストレスがかからないので、ユニットのスペックどおりピークが出るでしょう。
高音はツィーターが欲しい所ですけど、中高音のピークを処理しておきたい感じです。
ただ共鳴管式による、伸び伸びとした所を複雑なネットワークでスポイルするのも気に入らないので、追加するとしてもコンデンサー一発のスーパーツィーターって形で行きたいと思います。
実は、グラフィックイコライザー(パラメトリックイコライザー?)を内蔵したアンプで駆動し、F特性をフラットにして運用しようと言う将来図を見越しての設計になってます。
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組み立て
パーツの数は少ないものの、細長いパーツが多いので、板の反りには注意が必要です。
今回も、小さな木片(100円ショップにて購入)を、ガイドに使って、板の位置を固定します。
大体20cm間隔で適当に貼り付けておけば、ハタガネで締め付けても、板が奥に入ってしまったりする事が無い筈です。
吸音材も100円ショップで買ったスポンジを管の適当な場所へ貼り、中高音の漏れを抑えます。
ユニットの周り(直後)は、フェルトを使いました。
台の部分にはセメントを詰める予定でしたが、変更しました。
1本1.2Kgの鉛の棒を3本、エポキシ接着剤で底板に貼り、その上からジルコンサンドを入れました。
台の部分だけで8.4Kgになったので、セメントより安定するでしょう。
ガイドを貼り付けた関係で釘も使わずハタガネのみで組みあがります。
塗装は、相変わらずの手抜きです。
軽くペーパーをあて、その後水性塗料を3回塗りです。
色はアルテックっぽく(?)灰色にしました。
台は黒色、実際は接着してますが、台に灰色の本体を挟み込んでいる感じに仕上げました。
視聴結果
正直、このユニットには大きな期待はしていませんでした。
中高音域の歪っぽさ、潤いからは縁の無い中音は、所謂「古レンジ」サウンドです。
まぁ、「博物館に飾っておくのが無難」と印象です。
まぁアルテックのユニットで喜んでいるのは。ビンテージバイクに乗って悦に入る中高年と同じようなものでしょう。
勿論、趣味としては良い趣味だと思いますが、私の求める音とは異なっていました。
ところが、この箱で鳴らした205-8Aは、バスレフでテストした時とは別物です。
最高音への伸びは無いものの、スムーズに減衰する感じの高音で、歪っぽさが減少しました。
多少は乾いた感じがあるものの、さわやかな音色で「ああ、これがアルテックサウンドなのか!」と目から鱗です。
テスト箱は20リットルだったのですが、もっと大きな箱で真価を発揮するユニットだったみたいです。
予想通り、低音は不足気味ですが、バスレフより低音感が有る感じです。
共鳴管の癖もほとんど無く、黙って聞かせたら60リットル程度の大きな箱に余裕の有るサイズのユニットを入れたスピーカーの様です。(実際、そうなんですけど)
トーンコントロールで低音、高音をブーストしてみると、更なる驚きがありました。
低音モリモリ、ベースやドラムの迫力はとても12cmとは思えない迫力です。
カウボーイジャンキースの超低音も、風圧として感じられたのはビックリでした。
高音も以前のバスレフではブーストしたら、五月蝿くなってしまったのですけど、スムーズにブーストされます。
能率も高く、パワーも結構入るので、低音ブーストしても通常の音圧は得られました。
テスト箱での音を「AMラヂオ」だとすれば「FMラジオ」になった様です。
欲を言えば、もう少し中音のヌケがアップすればなぁ、、、。
測定結果と自己採点
完成重量は約19Kg、ノッポですけど、安定感は有ります。
箱の強度は取れている様で、ボリュームを上げても特に気になる部分はありませんでした。
測定環境がなくなってしまったので、測定は出来ません。
しかし、低音がダラ下がりに、どこまでも伸びている事は間違い有りません。
サブウーファーとスーパーツィーターを加えるのがベストかもしれませんけど、トーンコントロールだけで済ますのがハイCPです。
サブロク一枚と12cmフルレンジで、これだけの音が得られれば、大満足です。
ユニットの取り付け位置が床から82.5cmと、胡坐をかいて視聴するには少し高すぎたのが、失敗だったくらいです。
それでも今回の作成は大成功の範疇、満足度は90点です。
この箱は大抵の10〜12cmで使える筈なので、いろいろ試してみたい気持ちです。
2009/11/27 更新
ユニットをパイオニアのPE-101Aに変更しました。
低音不足が解消され、オーディオ的な音質になりました。
開口部に、幅30cm長さ60cmのフェルトを取り付けました。
スーパーツィータとしてST-R4を1.3uFのコンデンサー一発で追加(センターツィータ)、トーンコントロール+6dB(100Hz)、-3dB(7KHz)で良い感じです。
ユニット軸上1mの特性

スーパーツィータ追加、リスニングポイントの特性



