P610DBバスレフ


設計
ダイヤトーンのP610は非常に売れたユニットで、私自身もP610を使ったことが有ります。
当時の私は、低音ドカドカ、高音シャカシャカの派手な音が好きだったのでイマイチでした。
密閉、バスレフ、平面バッフルで使いましたが、結局は、そのスペースファクターの悪さも手伝い、直ぐに破棄してしまいました。
時は流れ、大人になった(悪く言えば老いた)私なら、どう感じるだろうかと言う興味が沸いてきました。
そこで、倉庫に有ったP610DBを引っ張り出して鳴らして見る事にしました。
設計は簡単、と言うかメーカー推薦箱に極めて近い構成です。
レトロな思い出の再現には、あまり奇をてらった構成は避けた方が良いと思います。
推薦箱の容量とダクトの設定を見ながら、板取の無駄の無い様に設計しました。(スペースファクターを考え、台が不要のフロア型)
ボックスの容量は約62リットル、ダクトのサイズは直径10cm、長さ45mm、共振周波数は約60Hzです。
15mmの合板とは言え、ユニットの取り付ける板は2枚重ねの30mm、ダクトは3枚の積層構造、フレーム型の補強も入っているので強度は十分でしょう。
本来、このサイズのキャビネットの場合、もう少し板厚が欲しい気もします。
ただ、ユニットがそれほど強力でないので箱も、程ほどにしておきます。
また、今回は15mmの米松合板を使用しました。
これは、昔オーディオショップで聴いたP610の箱が米松合板で、良かった記憶が有り採用しました。
ソースによってはツィーターが必須かもしれませんが、その時はキャビネットの上に設置する事にします。
自宅に有る使用していないツィーターを色々追加して遊んで見ましょうか。

図面を見る
板取を見る

組み立て
今回の板は節が多く、強度もイマイチの感が有ります。
しかし、値段はラワン合板と同じ様なモンなので、コストパフォーマンスとしては悪くないと思います。
重さは変わりませんが、叩くと多少乾いた硬い音がします。

さて、先ずは何時もの様に仮組みを行います。
並べて見ると、補強の数が多くて、箱全体の強度は充分です。
板を通過した音が、ラワンと異なるので、その辺が上手く作用すると良いのですが。
次には、釘を打つ場所をマーキングして、その為の穴を開けておきます。
一人での組み立ての場合、釘か何かで固定してしまわないと無理です。
この作業は結構面倒で、1時間以上かかってしまいました。(汗だく)
それが終わると、お楽しみの組み立てタイムです。
図面の番号順にパーツを組み立てておいて、最後に合体させる方法で組み立てます。(部材番号12が抜けているのは、私のミス)
ダクトはバッフルに張り付いた2枚の抜き板で形成され、トータル45mmの長さになります。
ターミナルは背板に貼り付けた板に取り付ける事になります。
底板には、丸の抜き板をピラミッドの様に積み重ねた物を張りつけ、補強と音の分散を期待します。
余った板には同じ直径の抜き板が多いので、それは一枚だけにして、自宅に転がっていた小さな丸板を最後に貼り付けました。
ユニットの取り付けは、何時もの様にT字ナットとボルトを使います。
ユニットの交換を考えると、木ネジを使用するには不安が有ります。(緩むから)

箱が完成してからだとグラスウールの取り付けが出来ないので、組み上げる前に作業を行います。
グラスウールの量は、市販のグラスウールの量から決定しました。
一袋が90x60cmですので、それを半分ずつ入れます。
メーカーの指定に比べると、ちょっと少ない目だと思いましたが、もう一袋は多い気がしました。
対抗面の片一方だけをカバーする様にカットし、木工用ボンドをつけて接着します。
天板と底板には使用していませんが、天板の方には、完成後でも追加できます。

組み上げには、釘とハタ金を使用します。
釘は組立作業を行いやすくする為の仮固定用です。
ボンドを塗り、釘で仮固定、その後釘で仮固定した部分をハタ金で強力に締め上げます。
あくまで板の接着は木工用ボンドに頼りますけど、その本固定には釘の力では頼りないと思います。

木工用ボンドが乾燥したら、後は大の苦手の塗装となります。
何時もの様に、釘穴にエポキシ系のウッドパテで埋めます。
翌日には硬化しているので、スピーカーボックス全体を120番のペーパーで平らにします。
今回の米松合板は、表面がかなり凸凹なので、完全に平らにするには、何らかの下処理を行った後に研磨する必要があります。
ただ、そこまでの手間をかける気は無いので、気休め程度のペーパーあてにしました。 色は悩みましたけど、薄緑にしました。
完全な白は大きく見えますし、目に厳しいので、多少の色が入っていた方が落ち着くと考えたからです。
決して、前回青天井で使用した白と緑が余ったから、それらを混ぜ合わせた訳では有りません。(
塗装は合計3回行いました。
本当は、この状態で再度ペーパーあてを行って、最終塗装を行うべきですが、面倒なので止めました。(視聴位置まで下がれば、気にならないと思うので)

視聴結果
ターミナルは何時もの様にトリテックのCU-T40。
配線は余っていたオーディオテクニカのケーブル、割とソフトな音質だったと記憶しています。
ユニットの変更も考えられるので、ファストン端子を使っての接続です。

最初に聞いたときに驚いたのは中低音の量の多さです。
超低音は無いのですが、一般的に言う低音の量が多くで、サイズを超えたスケールが有ります。
もっとも、このサイズというのはユニットのサイズの事です。
キャビネットの大きさは、それなりに大きいので、低音はキャビネットの大きさで決まるのだという事が再確認されました。
高音の量は物足りない感じがしましたが、聞いている間に慣れます。
どちらかというと、「集中して聞いてやれば、ちゃんと高音が出ている。」タイプの高音で、存在を主張しません。
スーパーツィーターの追加は効果的かと思いますが、キャラクター的に合うものが現在入手できるのか疑問です。
実際、昨日作成したST-R4を加えて見ましたが、相性はイマイチの感じがしました。
トーンコントロールで、低音を少し絞り、高音を少しアップさせて使う方が良いと思います。
全体の情報量は控えめ、此方も「集中して聞いてやれば、それなりに出ている。」タイプです。
通常の音量(1W前後)で聞く限りは、「ボーカルの口の中の唾の存在」を感じる為の情報量は無く、何となく眠たい感じの音になります。
いずれにしても、昔の私なら酷評した可能性の有る感じです。
今の私の場合は、むしろ聞き疲れ無く、何時までも聞いていられると言う事で「これもアリ」と言う評価になります。
ジャズもクラシックも充分聞けますが、情報が、はしょられている感が常に有るので、ボーカルの入っていない物が向いていると思います。
勿論、長岡系?の大砲、太鼓を中心とする強烈なソフトの再生は無理。
所謂オーディオ的に優秀録音とされているソフトになればなるほど、弱点が浮き彫りになります。

測定結果と自己採点
完成サイズは幅33cm、高さ90cm、奥行30cm、重量は17Kgと成りました。
現在の測定環境は、めちゃくちゃいい加減なので、測定は無し。
メーカー推薦箱に準じたサイズなので、変な特性には成っていないと思います。

箱の設計自体は、特に目新しい事は有りません。
しかし、補強やダクトの構成は無駄なく、さらに板取りもエレガントに(単純に?)出来たと思います。
スペースファクターも良いので、メーカー推薦箱を作るよりは良かったんでは無いでしょうか。
という事で、塗装の下手さを減点しても、満足度は75点です。


戻る