設計
マーキュリーと言うメーカーのユニットを購入しました。
このSWD160と言うユニットは値段(4,100円)の割にはしっかりした作りです。
マグネットサイズが直径100mm、厚みが20mm。
樹脂製のフレームで総重量が1.4Kg、フォステクスのFW168Nあたりと比べると格が違いますが、値段を考えると非常に頑張っていると思います。
コーンはドームが出っ張っていない、お碗型でポリエステル系。
何となくカーステレオ用のイメージが有りますが、中々愛らしいデザインです。
さて仕様を見てみるとfoが32Hz、Qoが0.32、moが17g、何となくfoが低すぎる感じがします。
f特性を見ると、巨大(600リットル以上)なJIS箱に入れている割には40Hz〜200Hzのレベルが高く(200Hz〜2000Hzより高い)、「何でこんなに低音が出るの?」と言う感じ。
高音は5000Hzまで伸び、そこから急降下、10000KHzで持ち直しています。
持ち直している付近は、質に問題がある部分なので5000Hz以下で使いたいです。
メーカー推薦容量は36リットルですが、f特性からすると、それ以上でも充分な量感が得られそうな気がします。
しかし、実用的に考えると、もっとコンパクトなサイズで使いたいですね。
そこで、20〜25リットル程度のバスレフで使用し、ダクトの共振周波数を低い目にセッティングすれば、音には成るだろうと目処をつけます。
完成サイズは幅26cm、高さ43cm、奥行き31cmで実容量は23.5リットル、ダクトのサイズは4cm角で長さは13cmに決定しました。
さて、型番から気付かれた方も多いと思いますが、JBLのコンパクトモニターで4301と言うスピーカーがありました。
20年近く昔、欲しくて仕方が無かったスピーカーで、サイズの割にはスケールが大きく、きちっとした音がしたと記憶しています。
SDW160を見た瞬間、「あっJBL4301のウーファーにそっくり。」と思っていました。
実際には大きさも違いますし、内容もまったく違うのですが、これで既に基本デザインは決まったようなモンです。(笑)
JBL4301のバッフルのサイズを90%に縮め、奥行きは同等にすれば、必要な容量が有られます。
勿論、板取と相談しながら決定した値で、上手くサブロク1枚に収めることが出来ました。
板厚は15mmですが、フレーム型の補強と、天地を繋ぐ補強が入っているので充分でしょう。
ユニットが、それ程強靭なタイプでは無いので、箱も程々にしておく方が好結果が得られます。
ツィーターはフォステクスのFT27D(3,500円)です。
マーキュリーのペアツィーターSED35(3,200円)が無難な選択ですけど、自宅のストックユニットに有った方を使います。
SWD160との音調が合うかどうかは、鳴らしてみないと分かりませんが、簡易テスト(ダンボール箱にSWD160を取り付けた箱で鳴き合せ)では、何とか成りそうでした。
ネットワークは、ウーファーをスルーで、ツィーターを3.3uFでカットするシンプルな物。
これで5000Hzあたりでクロスを目標としました。
個人的な好みですが、ボーカル帯域500Hz〜5000Hzは同一のユニットで鳴らしたいので、ウーファーに頑張ってもらう事にします。
ただ、前述したウーファーの10000Hzでの盛り返しが気になるので、最終的にはコイルでその辺をカットする事になるかもしれません。
いずれにしても2ウェイの場合、ネットワークの調整は鳴らしてみて決定する事になるでしょう。
図面を見る
板取を見る
組み立て
先ずは仮組みを行い、組み立て順序を考えます。
そこで、ミスを発見しました。
図面で見る様に、ダクトは底板と側板に接触する形ですが、板取をみるとダクトの穴の位置が間違っています。
当初の予定通りにするには、側板からは35mmでないと駄目です。
「やっちまったーっ!」と言う感じですが、まぁ致命的なミスでは無いので、そのまま組み立てることにしました。
順番どおりに組み立てていけば良いのですが、組み立ててからだと出来ないことは、先にやっておかないといけません。
ダクトの内部の塗装と、ダクトの穴から見えてしまう中身を黒く塗っておく事です。
内部は暗いはずなのですが、実際の使用では意外に内部の板が見えてしまうことが有るので、黒く塗っておけば見栄えが良くなります。
図面では分かり難いかもしれませんけど、この箱の中には天地板を繋ぐ補強棒が入ります。
大体30x50mmの太さの棒で、それを斜めに付ける事によって、定在波の防止にも利用します。
どれほどの効果があるか分かりませんが、鳴りを抑えるためにブチルゴムを両側から二重に張っておきます。
この棒を取り付ける場合、若干端を削って置くと、天地板を引っ張る力が増しますが、極端にやると浮いてしまうので、程ほど(1mm)に削ります。
この棒の設置が難しいので、一人で組み立てる場合は、はた金を駆使しないと難しいかも知れません。
それ以外は、特別難しいところも無く、容易に組み上がりました。
塗装
どんな色を塗るかと考える事は有りません。
何故ならJBLの4301と言えば青だからです。
バッフルのカラーは青で良いとして、問題はそれ以外の部分です。
4301は木目のシートなので、同じようにする事にしましたけど、日曜大工の店で売っている木目シートは、見かけがかなり安っぽいのが気になります。
木目シートを選択したのは、作業を短時間で済ましたいと言う気持ちも多少働いています。
塗装の場合、下処理にかかる労力と、乾燥にかかる時間は短縮し難いですけど、シートなら基本的に張るだけで済みます。
とは言え、木がデコボコならシートを張ってもデコボコなので、一応の下処理は必要です。
へこんだ部分はウッドエポキシで埋め、出っ張った部分はカンナで削り落とします。
その後、全体を120番のペーパーあてします。
使用するペーパーは、木工用の目詰まりのし難いタイプを使用した方が、ペーパー交換の手間が省けますし、使用枚数を減らすことが出来るので、トータルでお徳だと思います。
組み立て精度が悪いと、下処理に苦労します。
物を作る場合、しわ寄せが、後の作業に影響するので、慎重に行ったほうが良いです。(と、自分に言い聞かせながら、実は出来ない私)
バッフルは着色するので、もう少し細かい240番のペーパーをあて、その後水性のニスを塗ります。
安物のラワンの場合、目が粗いので、下処理としてもっと丁寧な作業が必要です。
ラワンは急に成長する木なので、導管の隙間が大きく、塗料を吸い込み、なかなか平らになりません。(数回は、パテで埋めて削りなおす覚悟が必要)
その作業をとばして高速化する手段として用いているのが、この水性ニスです。
乾燥が速く、一時間後には塗り重ねが出来るので、一日に何度も塗る事ができます。
バッフルを水平な状態にしておいて、6回も重ね塗りすれば、実用に耐える平面が完成します。
最後に320番のペーパーをあてて、最終塗りを行い、乾かせば下処理の完了です。
後はスプレーの青を上から吹きつけて、乾燥させれば、バッフルは完成します。(2回塗り)
と、思っていましたが、何だか間が抜けているので、一見溝の様に見える黒いラインを入れました。
これは18mm幅のマスキングテープで1mmの隙間を作り、黒スプレーで吹き付けて作成します。
裏板は、板が毛羽立たない程度に、水性ニスの2度塗りで済ませます。
最後に大きい目の幅45cm、長さ2mの木目シートを張りますが、これは協力者が居たほうが安全です。(一人でやったけど。)
継ぎ目が底板に来るように天板からグルッと一周するように張り込んでいきます。
スピーカーを包む感じで、大きめに余らせた状態で張った後、よく切れるカッターナイフで箱に合わせて切れば完成です。
視聴
視聴の前に、当然ユニットの取り付けを行わないといけません。
何時もの様にターミナルはトリテックのCU-T40、内部配線は余っていた小判型のケーブル(2.0mm2)を使用しました。
当初の予定通り3.3uFのコンデンサーだけでの接続で、落ち着くまで行ける感触を得ました。(実際は2.2uF(フォステクス、Uシグマ)と1.0uF(岡谷VX)のパラ)
ユニットを取り付ける直前にインスピレーションが沸いて、吸音材を一枚背板の下に張りました。
ブックシェルフ型なので、何らかの台が必要です。
畳に胡座をかいて座る場合、20cm程度は持ち上げたいので、昔作成した木製ブロック(単にラワンを張り合わせただけ)を台に使用しました。
最初に鳴らした時は、情報量不足でガッカリしますが、鳴らしている間にグングン良くなります。
中低音の量感もタップリ、低い方にも伸びていますが、部屋をゆするだけのパワーは無理です。
小口径のユニットを使用して、ダブルバスレフ方式等で低音を稼いだ場合、柔らかい質になりがちですが、これは、振動板で生み出したシッカリとした低音が出ています。
高音はツィーターの特徴で、やや硬質で雑な感じがありますが、これは半年も経てばマシになる筈です。
全体的に、繊細な音ではなく、太いペンで描いた絵の様な印象が有ります。
しかし、太いとは言っても筆ではなくペンで、どちらかと言うとハードでシャープな音です。
カラッと乾いた感じはJBLっぽいと言えない事も有りません。
ボリュームを上げると、箱が踊るので、オモリを置くと効果が大きいです。(天板と底板を結ぶ補強が入っているので100Kg置いても大丈夫)
ウーファーから出ている中高音は、それほど気にならないのでコイルは入れない予定です。
ややハイ上がりの印象が有りますが、エージングの進行と、ウーファーとのつながりを考えるとコンデンサーの容量を小さくするのも、待ちます。(エージングが進んでからコイルとコンデンサーは考えるって事)
測定結果と自己採点
特性は意外に良く、予想された中低音の盛り上がりも許容範囲に収まっています。
40Hz前後の低音もシッカリ出ており、大抵のソースを再生するのに充分なFレンジを持っています。
特性的には同サイズの3万円前後のメーカー製を上回っています。
音は好みによりますが、メーカー製に比べると鮮度が高く、元気良く鳴りますが、下品とも言えます。
このスピーカーの音を聴くと、「やっぱり長岡鉄男氏の影響が大きいな、俺。」と感じます。
ルックスも、とても愛らしく、それ(JBL4301)っぽくて、良い感じ。
かかったコストから考えると、なかなか良いスピーカーが出来、満足度は90%です。
2001年08月17日 更新
ダクトの共振周波数を確認する意味もあり、インピーダンス特性も計測してみました。
計算どおり、ピッタリ34Hzです。(ここまでピタリと合うのは珍しい)


