メルカバ212


設計
マーキュリーのHWV212を使用したスピーカーを作成する事にしました。
このウーファーはネオジウムマグネットを使用した珍しい20cmウーファーです。
テスト箱での視聴では、大容量の箱に入れ、巨大なダクトを駆動して低音を補強するより、小型の箱で使って、ダクトは軽く効かす方が良さそうです。
密閉でも使えると思いますが、今回はバスレフで行きます。

このユニットは中域(3.5KHz)に激しいピークが有ります。
そこを使うと、低域の良さをスポイルしますので、3ウェイでの使用が好ましいと思います。
一応2ウェイでも使えると思いますが、2KHz、12dB/octで切っても多少ピークが残ります。
箱の中にスコーカー、ツィーターを組み込むと、ネットワークの調整が難しくなるので、今回はウーファーボックスの製作とします。

箱の容量は約30リットル(foc=46Hz、Qoc=0.62)、ダクトのサイズは断面積6x6cm、長さ19.5cm(fd=40Hz)としました。

今回の箱の特徴は二重箱です。
予め組み立てた内箱を外箱に突っ込んで二重構造にします。
単純に45mmの板で構成するより、強度や遮音性は高まる気がしますが、どうでしょうか?

二重箱の隙間は鉛でも溶かして流し込めば理想的ですけど、今回はフェルトを張るだけとします。
昔、内箱と外箱の木の接触を最小限にしてコンクリートを流し込んだ事があります。
音は良かったのですが、重たくて扱いが大変でした。
また、半年もしたら隙間が出来てしまったので処分する事になりました。
エポキシ系の接着剤あたりが面白かったと思いますが、それでも同様の事になったかもしれません。
まぁ、今回は「あまり重たくならずに強度を上げる」と言うのが優先なので、内箱と外箱の接触を減らす構造にもなっていません。

ダクトは、いつもの方法です。
角型のダクトを角度をつけて取り付け、ボックス内の定在波の発生を邪魔します。

容量の割には、2本作るのに15mmのサブロク3枚必要です。
まぁ、箱の数は4つになるので、アタリマエと言えば、アタリマエですけど。


図面を見る(外箱)
図面を見る(内箱)
板取を見る

組み立て
カットは何時もの様に東急ハンズでお願いしました。
到着した荷物は4個口と、板材の多さを感じさせます。
数は多いものの、構造は単純で設計図を見なくても組み立てられます。

釘用の下穴を空け、ユニット取り付け様の穴を空けます。
ユニットの取り付けは、何時もの様にT字ナットを使用します。
今回はネットワークが外付けになりますので、頻繁にユニットを取り外すことは無いと思います。
しかし、取り付けの強度(螺子の締まり)が違います。
マーキュリーのユニットは、螺子穴が小さいので、なおさら正面からの木螺子での取り付けは不安があります。
螺子の長さは25mm、45mmのバッフルは貫通させず、最初の一枚目にT字ナットを取り付けます。

ダクトの取り付けは、適当に角度を変えて取り付けます。
きっちり45度回転させて取り付けるより、微妙な角度が良いと思ってます。

内箱の内部には対向面に木工用ボンドでフェルトを張ります。
今回の場合、吸音材で中低音を調整する必要が無いので、グラスウールよりフェルトが適しています。
量も最小限、対向面とダクトの周りだけで十分だと思います。

東急ハンズの様な場所でカットをお願いした場合、精度は十分なので木工用ボンドは、少ない目で大丈夫です。
必要以上に多く塗ると木と木の間に「柔らかい」ボンド層が出来ることになるので、あまり好ましくありません。

組みあがった内箱を手で叩いて見ると、コツコツと硬い音がします。
板厚的にはメーカー製以下かもしれませんが、構造からくる強度が高く、これだけでも実用になると思いました。

外箱は、完成させてから内箱をはめ込むのでは無く、側板と天板で構成されるL型パーツ、側板と底板で構成されるL型パーツで内箱を挟み込む様に組み立てていきます。
後はバッフル板と背板で、それを挟めば完成ですけど、その前に重要な作業が待っています。
設計時には、隙間にはフェルトを貼る予定でしたが、発泡ウレタンを充填してはどうかとのアドバイスをいただき、採用しました。
音に関しては、どちらが良いかは微妙ですが、発泡ウレタンが意外に安価で有ると言う事と、何よりそっちの方が面白いと言う事で決定です。

隙間からノズルを差し込んで、中央に隙間が出来ないように充填します。
200%程度に膨張しますので、溢れた分はカッターナイフでカットします。

箱が組みあがったら、ターミナルの取り付けです。
今回はフォステクスのT100を採用しました。
最終的にはターミナルにケーブルを圧着、もしくはハンダ付けする予定です。
塗装前に、音を出して見たいので、取りあえずワニ口クリップで配線する事にしました

測定結果と自己採点
完成サイズは幅30cm、奥行き33cm、高さ72cmと20cmバスレフとしては大型です。
ユニット単体が1.8Kgと軽量な事もあり、完成重量は19Kgと、それほど重くありません。
ユニットの色が派手なので、インパクトの強いルックスですが、悪くありません。
図面と実物とのイメージの差で、「もう少し上にユニットを付ければ良かった。」とか思う事が有りますが、今回は大成功でしょう。

塗装は後回しにして、取りあえず音だしを行いました。
テスト箱も板厚は15mmですが、補強が入っており、普通の強度は有りました。
しかし、今回の箱は更に強度が高いのが、一聴して分かります。
テスト箱に比べると、低音の量感は、やや減少しています。
低音の立ち上がり、立下りが鋭く、スピード感十分です。
また、テスト箱と同じ共振周波数に設定してあったダクトの効きが桁違いで、最低域のパワーが有ります。
この音を聞いていると、柔道家の小川直也の肉体改造を思い出しました。
贅肉が取れ、スピードアップした上に、パワーアップまでしています。

ボリュームを上げ箱を触って見ると、それなりに振動しているのが分かります。
振動自体が小さいのは勿論ですが、何処を触っても同じように振動しているのが特徴です。
重石の追加は有効です。

測定はユニットの軸上50cmで行いました。
測定で使用したのはベリンガーDSP8024とEMC8000です。
ピンクノイズを発生させ、ピークホールドした値となります。
ディスプレイ上のドットとドットの間は3dBと設定しました。

1KHzの値を基準とすると、-10dBで40Hzまでは再生しています。
200Hz〜300Hzに小さな谷、80Hzに山が有るので、内容積を少し減らした方がフラットに成るかもしれません。
この辺の凸凹は、視聴位置では気にならないと思います。
上の方は、3KHz〜4KHzあたりにケプラーコーンの宿命と言えるピークが有ります。
これを利用して2ウェイで行くか、切って3ウェイで行くかは難しい所ですけど、出来れば切って使いたいと思います。

発泡ウレタンのアイディアは面白かったし、成果も有ったので、自己採点は85点としておきます。
今後の塗装によって、5点は加点出来ると思うので、大成功の部類です。
低音の質に関してはメーカー製の十万円程度のスピーカーに十分対抗出来ます。
2ウェイで使用する限り、ライバルは、もう少し下のランクだと思いますが、3ウェイで使えば、更に上を狙えそうな感じです。
現在はマーキュリーSED35との2ウェイ(2000Hz-12dB/oct)で聴いていますが、役不足の感が有るので、近々3ウェイへの変更を行います。

2003年12月16日 更新
3ウェイで使用する場合、組み合わせるユニットが難しいところです。
昨日入手したRPスコーカーは、なかなか素直な音色で、優秀でしたので、此方を使用する事にしました。
大きいRPスコーカーで700Hz〜4500Hzをカバー。
小さいRPスコーカーは4500Hz〜15000Hzで使用します。
その上は、昨日作成したパイオニアのスーパーツィーター(ST-R4)か、何かを追加する事にします。
大きいRPスコーカーは背面が開放されているので、キャビネットが必要、最小のサイズで箱を作成します。
小さい方は、背面が密閉されているので、そのまま使えますが、運用しやすいように適当な箱に入れます。
は単純な密閉型で、内部にはグラスウールを軽く充填しておきます。
15mmサブロク半分でも、板が余るので、その部分を使ってサランネット用のフレームを切り出しました。
ユニットの一回り大きい穴の空いた、正方形の板という単純な物です。
それにネットを張って、ボックスへはテープか何かで固定する事になるでしょう。

図面を見る

2004年03月02日 更新
塗装と細部の調整を行いました。
塗装はバットボーイと同様の手法(塗り回数は少ない目)で行い、側面には木目シートを貼って仕上げました。
ダクトを塞がない程度に底に小石を入れ(2.5Kg)、内容積の調整を行いました。
ネットワークの方は、クロスオーバー周波数700Hz、5000Hzの-12dB/octに変更、ウーファーにはインピーダンス補正回路を入れました。
スコーカーは昨日作成したRPスコーカー大、ツィーターはパイオニアのPT-50を使用する事になります。
中高音に有る多少の華やかさは、私の好みです。
低音も口径を感じさせない逞しい感じになっています。
トータルで納得の行くレベルに達しましたので、メインスピーカーへの昇格を決定しました。

測定はスコーカーとツィーターの中間の軸上50cmで行いました。
測定で使用したのはベリンガーDSP8024とEMC8000です。
ピンクノイズを発生させ、ピークホールドした値となります。
ディスプレイ上のドットとドットの間は3dBと設定しました。


2004年04月08日 更新
UsherAudioのT-9950と言うツィーターは、ソフトな音調でしたが、エージングが進むにつれて情報量が増えてきたのでPT-50と入れ替えました。
裸で使っていると、何かの衝撃で落ちて来そうなので、箱を作成しました。
ツィーターの大きさギリギリのサイズのを切り出して、取り付けるだけです。
一方、ネットワークも裸の状態で、置いていましたが、これも不安定なので、ちゃんとしたネットワークボックスを作成します。
これまた簡単、板取とネットワークのパーツが入る大きさの単なるです。
ケーブルは直接引き出し、隙間はエポキシ接着剤で埋めます。
写真は途中までジルコンサンドを入れた状態ですが、箱一杯まで詰めます。
ネットワークボックスの完成重量は約20Kg、これだけの重量なら、メルカバ212自体のダンプ効果も有ると思います。

図面を見る


戻る