HiVi D8.8ウーファー


設計
ミニスピーカーの弱点は低音です。
その点を除けば、大型スピーカーに負けない性能を持っている製品が沢山あります。
そこで、ミニスピーカーに追加するサブウーファーを設計する事にしました。

スピーカーの設計で大事な事は、欲張らない事だと思います。
今回の場合でも「コンパクトで、20Hz〜200Hz迄フラットで、音も良くて、安く。」等と頑張って設計すると「間違いなく失敗」します。
ターゲットを絞り、上手く妥協するのがコツです。
そこで、今回の設計の優先順位は「超低音は不要でも豊かな低音」「ミニスピーカーの台に適当なサイズ」となります。
勿論、「安く」とか「面白く」とか「見栄えも良く」とか、その他色々なファクターが上記の順位を取り巻いている訳ですが。
30cm以上のウーファーとなると値段も、箱のサイズもかなり厳しくなるので16cm〜20cmが妥当です。
最初に考えたのフォステクスのFW208Nです。
優秀なウーファーですが、使ったこと無いユニットがいいなぁと、他を当たってみると面白い製品が有りました。
HiViという会社のD8.8です。
22cmウーファーで値段もFW208Nより若干安く手に入ります。
スペックを比較してみると、FW208Nに比べて更にコーン紙が重く強靭の様です。
更にボイスコイル径が100mmと、コーン紙の半分近い大きさに達します。
ボイスコイル径が大きくなると高音に弱く低音に強くなります。
2ウェイで使用するには厳しいかもしれませんが、サブウーファーとしては上は出ないに越したことありません。
総重量はFW208Nの4.65Kgに対して3.5Kgと軽いですが、マグネットがネオジウムという事で、駆動力や強度は互角では無いでしょうか?
手にとって見るとボイスコイル径は異様で迫力満点です。
フレームは細目ですが、縦に強い構造で、なかなか無駄の無い設計の様に見えました。

箱の設計はユニットのスペックからして20〜30リットルの密閉型、30〜60リットルのバスレフ型あたり。
サブロク1枚で2本は切り出せないので、1.5枚で2本取れるサイズと言うところからサイズとダクトの共振周波数を決めました。
バッフルは2枚重ねの42mm、フレーム構造の補強材、天板にも補強、底板はダクトが補強も兼ねると言う強靭な構造です。
奥行きが450mm有るので、ターミナルは天板に取り付け、壁にぴたっと接近できるようにします。
因みに幅がピッタリ300mmなのは、手持ちの御影石の板(300x350mm)を上に設置出来るようにしたかった為です。
完成予想サイズは300x450x450mm、容量は36リットル、ダクトが80x80mm長さ280mmです。
そこから計算するとfocが47Hz、Qocが0.59、fdが38Hzあたりになります。

板取を見る
図面を見る

組み立て
ざっと仮組みしてみると、補強材が予想より長い目なのに気が付きます。
設計図どおりに組み立てると、ターミナルの取り付けがやりにくそうなので、補強材の取り付け方を変更します。

ダクトの内部は組んでからは着色しにくいので、予め黒で塗っておきます。
ダクトと「ロ」の字の補強材の隙間が狭いので、ダクトの上面にフェルトを貼って妙な共振を起こさないようにしておきました。
板厚が21mm有り、箱のサイズも45cmに収まるので、手持ちのハタカネをつかって組み立てました。
左右のペアを組み合わせて固定する事によって直角が出やすくなると思います。
背板と天板を接着、バッフルと地板を接着、その後それらを固定する順番がやりやすそうです。

ユニットの取り付けは、何時ものようにT字ナットを使用します。
今回の様に強力なウーファーを取り付ける場合、木ネジでは心細い感じがします。
ただ、HiViのD8.8は、取り付けネジの穴が12箇所もあるので、準備が大変です。
この取り付け穴の穴あけは注意が必要です。
垂直に穴を開けておかないと、ネジが上手く入らなかったりするので、電動ドリルに角度を設定できるアタッチメントを使用しました。(これをつけると穴あけが面倒なんですが、ずぼらして大失敗した経験有り)

設計図どおりに組み立てると補強板の間で共振しそうな感じがするので、横に(低くなるように)とりつけました。
吸音材もその間を含めて、対抗面に多い目に貼り付けました。
最後に側板を接着すれば、箱の組み立ては完了します。

塗装前にはユニットのネジ穴やターミナルの取り付け穴をマスキングテープで蓋をしておいてから行います。
今回は、全体を120番のペーパーで慣らした後、ラッカーの黒を数回塗りました。

視聴
ピンクノイズを数時間ぶち込んで、ユニットの初期エージングを完了させた後に視聴しました。
20cmの台の上に乗せ、ネットワーク無しで聞いてみると、中高音も結構聞こえ、2ウェイでも使えるかなと思いました。
箱の強度は結構高いようで、ボリュームを上げても目立ったビリつきは有りません。

ウーファーなので音楽を聞くには、このままでは使えません。
当初の予定通り、昨日作成したFF85Kを使用したミニバスレフと組み合わせて見ました。
ネットワーク無しで、そのままパラで鳴らして見ると、流石に中低音のダブりは感じるものの、能率的には、ちょうど良い感じです。
手元に有った8.2mHのコイルをかまして(166Hz -6dB/oct)逆相で接続すると、低音の量感が段違いにアップしました。
そのままでは低音が寂しく、トーンコントロールの助けが必要だったミニスピーカーが、大型フロア型のスピーカーに変わります。
質も量も期待通りの低音で、スピード感もFF85Kに付いて行くレベルにあります。
音調はフォステクスのFW208Nに比べると、ややソフトなキャラクターです。

測定
20cmの台に乗せ、ユニットの軸上60cmで測定

50Hz付近までフラットなのは想定どおり、カタログスペックにもある500Hzと2KHzのピークがあります。

実際の運用は幅30cm奥行き35cm厚さ3cmの御影石を台にし、天板にも同様の御影石を置きます。
その上にメインとなるミニスピーカーを設置する事になります。
FF85Kのミニバスレフを、その状態に設置し、FF85Kのユニット軸上60cmにマイクを設置して測定しました。

先ずはFF85Kの測定


8.2mHのコイルでの測定


8.2mHのコイルと50uFコンデンサー(290Hz -12dB/oct)での測定


上記とFF85Kミニバスレフと合わせて測定


8.2mHコイルだけで鳴らすのと、コンデンサーを加えて鳴らすのと、どっちが良いかは微妙です。
もう少し大き目のコイルで、下でスッパリ切るのが良い様な気もしますが、当面は、この状態で鳴らして見たいと思います。
アンプのバイアンプ機能を使用してウーファーのレベルを上げる手も有りますが、このままでも丁度良い感じです。

完成のサイズは幅300、高さ450、奥行き450mm、重さは13.7Kgとなりました。
強度は高いのですが、結構軽いので、重石を置くのは有効です。
ルックスも悪くなく、音も良いので、満足度は高く、90%って所でしょうか。


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