2001年3月末締め切りで、フォステクスのスピーカーコンテストがあります。
そのコンテストはFE103Mを使用したスピーカー設計を競うと言うものです。
偶然に「鮎八」「飛び箱」「フェイク」等を立て続けに設計する機会があったので、それらは全てコンテストに応募する予定です。
それぞれに個性があって面白いのですが、一時審査は書類選考ですので、図面上で「おや?」と言うケレン味に欠けます。
そこで、昔から「どうで失敗するに違いない。」と思っていたアイディアを実行してみました。

どこにでも有りそうですが、私は見た事がありません。(よく似た考えはゴロゴロ有る)
バスレフ方式の場合、ダクトから低音と高音の漏れが聞こえてきます。
たいていの場合、それはユニットとは異なる位置から聞こえてくるので、厳密に言えば音像が移動してしまいます。
それを避ける為に、ユニットの周りに対称にダクトを配置し、見かけ上の音源を一点にしようと言う考えです。(バーチカルツイン?)

上記メリット以外には、バッフルが最小で鳴きが少ない事や、ユニットからキャビネットに伝わる振動が、一旦背板に行くので影響が少なくなると言うモノが考えられます。
ただし、デメリットも多く想像出来ます。
バッフルボックス(?)は、少ない面積で背板に接着されているので、ちゃんと固定されるのか?
ユニットからダクトまでの距離が短いので、回り込みによる影響が大きく、低音が出るのか?等考えられます。

組み立ては簡単で、釘も使わなくても問題ありません。
背板と天地板の上にフェルトを張りました。

実は、最初、掲載した設計図どおりに組み立てました。
途中で(バッフルボックスを、背板に張る時)「この構造では上部と下部のスペースが使えないんじゃないか?」と思ったのですが、そのまま組み上げました。
音を出すと、低音は全く出ず、やっぱりバッフルボックスだけで鳴っている印象でしたので、バッフルボックスの取り付けを90度回転させました。
バッフルボックスの取り外しは、金槌でガンガン叩いくと外れました(壊れました?)。
その印象だと「バッフルボックスと背板との固定」は、しっかりしています。
変更後の音だしでも、低音はスカスカでオーディオ用としては辛いものがあります。
ただし、これはダクトの面積が大きく、共振周波数が高すぎた事に起因するもので、両サイドをウレタンゴム(厚み1cm、15cm正方形)で埋めると、ちゃんと低音は出てきました。
設計的には、ダクトの隙間は10mmは大きすぎ、5mmでやっておくべきだと思います。

ウレタンゴム無しでは、音にならないので、入れた状態での視聴は、面白い音です。
容量的には、メーカー推薦箱と同等で、同じような低音の量があります。
違うのは、中高音のつやで、FE103の持つ紙臭さが後退し、意外に高貴な華やかさを感じました。
中高音の漏れがスパイスとして働いているとしか考えられませんが、それにしては品が良いのが不気味です。

この構造で、FE83を使ってダブルバスレフにするとか、ウーファーを使った2ウェイ(ツィーターを取り付ける部分とウーファーの部分を振動的に分離できる。)も面白いと思うので、機会があれば挑戦してみたいと思っています。

なお「旗」というネーミングは、最初横置きでイタリアの国旗の様に色を塗ろうかと考えていた事からきています。

図面を見る

2001年05月18日 更新
何と本作品が、スピーカークラフトコンテストで入選しました。(ビックリ)
最終選考には、残りませんでしたが、入選と言う事で景品(HP Sound Reflector定価4,800円)が送られてきました。
かなり嬉しいのですが、もしかして全員プレゼントなんだろうか?

2001年07月02日 更新
新しく発売されたFE107Eと言うユニットに興味が有ったので、付け替えてみました。
高音の歪み感が減少し、伸びが良くなりました。
このユニットは防磁型で、FE103より非力な筈ですが、普通のボックス(メーカー推薦箱や、この旗等のバスレフ型)で使用する限り、FE103より優れた音がします。
FE103Mとの比較をして見ると、高域方向への伸び以外は負けています。
低音のパワー感、全域での密度感など、かなり差が出るようです。
跳箱にスーパーツィータ(跳箱T)を加えた状態と比べると歴然、格の差を感じます。
いずれ発売されるであろうFE103Eなら分かりませんが、現状ではFE103Mの方がオーディオ用途として優秀なのは確かです。

鳴らし始めて数日なので、エージングが進めば解消される可能性があるのですが、もっとも気になるのは以下の点です。
高音方向へのレンジは広がっていますが、密度は低下し、何か力感が感じられない高域です。
歪みが少ないので、そう感じるのかも知れませんが、FE108ESやFE108ESIIでは無かった弱点です。
また、説明書ではバックロードホーンでも使えると書いてありますが、それは止めた方が良いと思います。
バスレフで使用しても中低音の分解能力に不満が出る現状なので無理でしょう。
バックロードホーンに入れた訳ではないですが、コーンの強度、駆動力で不安がありますし、もし駆動しきれたとしても、この中高音では、バックロードホーンの中低音とは合わない可能性が高いと感じます。

最後に、ルックスの点で気になる点を上げておきます。
ESコーンと言っても、今までのESシリーズのコーンとは、かなり差が有ります。
色も僅かに黄ばんでいる感じがあるのは良いとして、成型に難がある様です。
コーン紙の歪みや、ドーム部分の透きムラが目立ち、アップで見ると「ちょっと作りが悪い」と感じました。
FE103MはMade in Japanですが、FE107EはMade in Taiwanなので、その辺は大目に見ないと駄目なんでしょうかね。

結論「オーディオ用途ならFE103MかFE103E待ち。AV用途ならFE107と交換もメリット有り。」

2001年12月26日 更新
期待のFE103Eが発売されましたので、入れ替えて視聴と測定を行いました。
作りが悪いのは、相変わらずですが、音の方は優秀です。
FE107Eに有った「やる気の無さ」は影を潜め、力強い音が出ています。
FE83Eの高音は、ESシリーズに近く上品な音調ですが、FE103Eは力強い方向の高音で、私好みです。
FE103Eに入れ替えると、ウレタンを挟まない状態でも結構低音が感じられて実用に成るのが不思議。
FE103Mとの比較でも、音は此方の方が総合点では上だと思います。(作りが悪いのは気に入らないけど)


40cmの台に載せて軸上正面50cm、ダクトは全開放。


同じく、ダクトにウレタンを2枚挟んだ状態。


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