波動ホーン85K


設計
フォステクスのスピーカークラフトコンテストの課題はFF85Kと言うユニットです。
以前作成した波動ホーン83Eは、バックロードホーン向きでは無いFE83Eを使用した関係で中低音の量が多く、もう少し何とかしたいと考えていました。
そこでFE83Eよりはバックロードホーンに向くFF85Kを使用して再挑戦しました。
改良点は、ホーンの効きをもう少し低い周波数に下げたいと言う事です。
その為には、広がりが緩やかなホーンにしなくてはなりませんが、緩やかに広がるとホーンの開口面積を確保するためには、より長いホーンが必要です。
前回はサブロク1枚で1本を作成するのにやり繰りしましたので、今回はサブロク1.5枚で1本を切り出します。
多少、板取に余裕が有りますので、前回気になった側板の鳴きを解消すべく2枚重ねにしました。
また、前回のホーンの構造の場合、同じ長さの折り返しが有ったので、それも無くす音道の取り回しにしました。
その他にも、ターミナル板を用意してケーブルの変更を可能に出来るようにしたり、空気室を支える背板の強度を上げるような構造を採用しています。
空気室から後ろに抜けたホーンは左右に分割、その後上下に分割され、その後折り返しながら中心に向かって集められ、中心から発射される構造に成ります。
背板のデッドスペース(日の字部分)は、グラスウールか何かを詰める事になるでしょう。

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組み立て
到着したパーツ数は52個(片ch)と多い目。
ユニットを取り付ける空気室部、その空気室部を支える背板部、音道を構成する音道部から構成されます。
前回に比べると、組み立ては簡単、とは言え各部分を結合する終盤の工程は協力者が居ないと組み上げるのは難しいと思います。
最初に組み立てるのは背板部です。
日の字の内部に詰めるのはコンクリートにした関係で、乾くまでの時間が必要となりますので、まず最初に組み立てます。
コンクリートを流し込むと重たくなってしまいますけど、値段がグラスウールより安くなると言うのがポイントで採用、音の方にも好影響を及ぼすと思います。
この部分はユニットが発生した振動を支える部分でも有りますので、強度は高いに越した事は有りません。
日の字の内部に、釘を沢山打ち付け、その釘を色んな方向へ曲げておく事で、コンクリートが剥がれ難くしておきます。
コンクリートは10Kgの袋一つで丁度、埋まりました。
コンクリートを乾かすのに1週間ほど、日当たりの悪い場所に置いておきました。
風通しは良いに越した事が有りませんが、日光が当る場所だと急速に乾燥していまい、ひび割れとかが出てしまいそうです。
乾燥しきった所で、キャビネットに取り付けられるようにデコボコをヤスリで平らにしておきます。
コンクリートを乾かす時間を使って各パーツを組み上げておきます。
空気室部音道部を釘と木工用ボンドを使用して組み立てます。
直角を気にしながらの組み立てに成りますが、今回も各パーツが複数個有りますので、お互いを利用しながら釘やハタガネを使って固定すれば、正確に組みあがります。
各パーツが組みあがったら、完成後には塗りにくい部分の塗装をしておきます。
この部分は、表から見えにくい場所なので、下処理もせず、ペンキの2度塗りと手抜きしました。
完成した各部分を結合させ、側板で挟む工程は一人では無理なので、2人の助っ人を頼んで、支えてもらいながら行ないます。
側板で挟み込む場合は、2枚重ねた板を貼り付けるのではなく、1枚ずつ行ないます。
音道の場所に釘穴を空けておいた側板を釘と木工ボンドで固定して乾燥させてしまいます。
最後に挟み込む側板はモクネジで締め付けましたが、釘だと板の反りを抑えられないと思います。
勿論、モクネジの頭は見えない様に釘穴を空けておき、乾燥後はパテで埋めてほぼ完成です。

塗装
コンテスト締め切りの期限の関係も有りますが、今回も手抜き。
120番のサンドペーパーを軽くあてた後に、水性ニスを2度塗って下地完成。
その上から黒のラッカースプレーを2度塗っただけの簡易塗装です。
それでも、塗装を行なうと音も良くなるでしょうし、何よりキャビネットの持ち運び時に、手にささくれ立った木片が刺さらないのが良いです。
ターミナルは、某所で購入した安価の割には豪華な物です。
ただ、ケーブルをハンダするような構造には成っていないので、ケーブルを巻きつけ、リングスリーブで圧着しました。
ターミナル板は、取り外しが利くようにブチルゴムテープを貼り付け、それを8本のモクネジで取り付けます。

視聴
「なんぢゃこりゃーっ!」(松田優作風に)と言うのがファーストインプレッション。
前回の波動ホーン83Eの比ではない、酷い音にビックリしました。
よく考えて見るとバックロードホーンの最初の音出しはこんなものでした。
前回はキャビネット完成から音出しまで約一ヶ月の間が有りましたので、最初から結構マトモな音が出ていたのです。
中低音「ボーボー」中高音「ガサガサ」高音「キンキン」とオーディオというには厳しい音質です。
FF85Kの中高音の下品さに箱による中低音の下品さがプラスされ、独特の音色を形成しています。
良く言えば豪快、悪く言えばPA的で「これでもか!」と言う存在感で押し寄せてきます。
中低音の量も予想より、まだ多く、空気室とスロートにグラスウールを入れてレベルを押さえる事にしました。
キャンセリングマグネットによる磁気回路の強化とエージングが進んだ現在、下品さが後退して聴ける音に成っていますが、それでもバランス的には中低音ブーストは変わりません。
「8cm一発で、こんなに大きな音が出せるんだ!」と言う魅力は有りますがオーディオ用としては厳しく、AV用に使った方が良い感じがします。
前作と比べると箱の強化は効いているものの、ユニットの差が大きい様です。
FF85KはFE83Eに比べるとバックロードホーン向きだと言うのは、間違いだったかも知れません。
ユニット取り付け穴を拡大しFE88ESを使用するのがベストでしょうし、FE83Eにキャンセリングマグネットで使用する方がベターだと思います。

測定結果と自己採点

40cmの台に乗せて、ユニットの軸上60cm。


ホーンの中にマイクを入れ測定。

完成サイズは幅26cm、高さ58cm、奥行45cmと巨大。
重量は28Kgに達し、構造的にも強度は高く、ボリュームを上げてもビクともしません。

前作よりレンジは広がっているものの、それでも中低音レベルは高い。
中高音にも山が有り、この辺が下品さに拍車をかけていると思われます。
「FF85Kを使ったマーク2を作れば、もっと良い物が作れそうな気がするなぁ、、、。」と前作の波動ホーン83Eを作成した時に言っていましたが、その意味では失敗作と成りました。
波動ホーンの特徴で有る、圧倒的な押し出し感は引き継いでいる事は確かですけど、目標としていた音質には届かず、満足度は60%程度です。
グラフィックイコライザー等で気になる部分を絞っても癖が残るのはユニットの特徴も有るでしょうが、箱にも責任が有るのでしょう。
ただ、設計的にも製作的にも前作より悪くなる筈が無く、原因不明です。
箱のエージング不足なのか、もしかしたらユニットなのか、、、。
いずれにしても、FE83Eへのユニットの変更も含めて、後日の課題となりました。

なお、FOSTEXスピーカーコンテストの結果は「佳作」と言う事になりました。
展示のみで視聴をされなかったのは残念(幸運?)です。
良くも悪くも、他の作品とは次元の異なる音質で驚かせられたのは確実なんですが、、、。


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