設計
とても小さくて可愛いTangBandの5cmフルレンジW2-800SJを使ったスピーカーを作ろうと考えました。
5cmにしては能率が高い目で、ハイ上がりの傾向が有るって事で、何とかバックロードホーンで使えると思います。
プラスティックフレーム、ネオジウムマグネットで140gと軽量、ちょっと頼りなく見えます。
本当はバックロードホーンと言う負荷をかけるなら無理をしない方が無難でしょう。
しかし、今回は敢えて強い負荷をかけて、「5cmとは思えない低音」を出すのを目標にしました。
レイアウトは色々考えられます。
スワン型も可愛いだろうし、極限まで幅を小さくしたCWホーン、極限まで奥行きを薄くしたスパイラルホーン等も面白いと思います。
波動ホーン85Kの一回り小さいものも、いいかなぁ等とも考えていましたけど、使用状況を考えてコブラ形式にしました。
コブラ形式ってのは、長岡鉄男氏が昔設計したコブラと言うスピーカーの形です。
薄いスパイラルホーンを寝かせて、そこから首が伸びた形になっています。
スパイラル部分がスピーカー台の様に見えるので、非常にコンパクトに感じさせる事が出来ます。
畳に胡坐をかいて使うので高さは70cm前後、それにスパイラルホーンを付けるのですが、設計が難しいです。
長いホーンにするなら、スパイラルの数を何重にもしなければいけませんが、あまり大きくなってもいけませんし、大きくしない為に、厚みを大きくするとルックスや製作が難しくなります。
そこで首の部分も2回折り返してホーンとして使う様に設計しました。
首の長さを55cmとすると、それだけで約1.6mのホーンとして使えます。
1.6mのCWホーン(?)の後、スパイラル部分に入ってグルグルと約1.9m、トータル3.5mのホーンを得られました。
それでも台(スパイラル部分)の大きさは幅44cm、奥行き37cmです。
適当な大きさになるように、何度も計算して得られたサイズで、首(CW部分)はカットオフ周波数35Hz、台(スパイラル部分)は40Hzと設計されたカスケードホーンです。
空気室約0.4リットル、実効スロート6平方cm、開口面積40平方cm。
メカニカルクロスは約150KHzですので、完成後に空気屋の容量調整が必要かもしれません。
さて、心配事が2つ有ります。
一つは、こんな小さいサイズのホーンが計算どおりに動作するのか?
そして、動作するとして、この可愛いユニットに駆動出来るのでしょうか?
使用する板は9mmのMDFです。
もう少し厚い板を使用した所ですけど、この設計の場合、15mmにすると完成サイズがかなり大きくなってしまいます。
MDFを使用するのは、組み立てに高い精度を必要とするので、厚さが均一な方が良いと言う意味。
それから、表面が平らな方が多少なりとも空気抵抗(摩擦抵抗)が減るかもしれないと言う事です。
これだけ細くて長いホーンなので、空気抵抗だけでユニットの駆動力が無くなってしまいそうです。(笑)
図面を見る(全体図)
図面を見る(上半分)
図面を見る(下半分)
図面を見る(スパイラル部分)
図面を見る(板取)
組み立て
パーツの数が多いですが、全てのパーツが設計図どおりのサイズかを確認しておきます。
今回の場合、僅かな狂いで組みあがらないと言う事も考えられますので。
仮組みしてみると、作り甲斐が有りそうです。
頭部(空気屋)、首部(CWホーン)、台部(スパイラルホーン)と、それぞれ組み立てます。
今回は釘を使わず、木工用ボンドだけを使用します。
本当は下穴を開けて、細い釘を使った方が良いと思うのですが、板厚も無いので結構面倒だと思います。
スパイラル部分は2枚の板をL型に接着、それを1パーツとして、接着していくと言う手順になります。
左右用のそれぞれのL型を組み合わせて四角にして固定していくと言う事をチマチマやります。
全てのL型が完成したら、内側から外側へ向かって接着していきます。
一つ接着したら、乾くまで固定しておいて、それから次に進む必要が有るので、時間が必要です。
渦巻き状に組みあがった時には、90度が出ずにかなり歪んでしまいます。
それを挟み込む方の板にガイド(1cm角の木を薄く切った破片)を使って固定する形にすれば、ちゃんと収まります。
設計図とは違った組み立てを行った部分も有ります。
余った板で、スパイラル部分の開口付近の音道を構成しますが、設計図どおりだとスムーズに見えないので、適当に調整しました。(板を入れ替えた)
また、開口部分の補強を兼ねた220mmのパーツは使いませんでした。
一つは、ちょっと長すぎるのでは無いかという事、もう一つは、これが有ると開口部分の塗装が行い難く成りそうだったからです。
補強が必要な場合は、塗装後に、長さを半分程度にして、差し込む事になるでしょう。
首部は、幅1cm長さ55cmと言う細長いパーツが有るので、ソリが心配でした。
MDFにしたおかげか、それ程でもなく、釘無しでも十分組み立てられました。
内部はCWホーンで空洞になっていますけど、幅が狭いので強度は十分です。
頭部は何て事の無い四角の箱です
内部の補強兼、容量調整の板は、気休めにアールを付けておきました。
カンナとヤスリで目分量で削りましたけど、どの程度音に好影響が有るかは疑問です。
オマケにバッフルはコーナーを軽くヤスリで削ってラウンドバッフルにしました。
これまた、好影響が有るか疑問ですが、まぁ気休めって事です。
各部の完成後に、それぞれを合体させれば、組みあがりです。
塗装の関係が有るので、台と首を接着、頭は、後で接着します。
接合部分の強度が、心配でしたけど、何とか大丈夫っぽいです。
横からハンマーで殴れば、「パコッ」と取れてしまうと思いますが、音に影響が出るほど弱くは無いでしょう。(縦方向には強い構造だし)
ただ、やはり首を差し込む形にしておいた方が、組み立て易さの点でも良かったかと思います。
ターミナルは、家に転がっていた2個1000円の安物です。
一応バナナプラグ対応で太いコードも使えますけど、金メッキが如何にも安っぽい物です。
内部配線も、灰色で小判型の屋内配線用の細いケーブルをばらして使用しました。
塗装は水性の塗料の二度塗り。
相変わらずの手抜きですけど、板が平らなので、それ程醜くは無いです。
後はユニットを取り付ければ完成です。
視聴
逸る気持ちを抑えて、何時も聞いているCDを鳴らしてみました。
「ええええ???」と言うくらい低音が出ません。
工作ミスかなぁ、と思って開口部に耳を付けてみると、低音は出てます。(両チャンネルとも)
しかし、テスト箱(0.5リットル密閉)の方が低音感が有ります。
トーンコントロールで補正してみると、BASSをマックス(+10dB)でも???と言う感じです。
このスピーカーの場合、有る程度距離(1m位)をとって使いたいので、このままでは使い物になりません。
絶対的なレベルが低いのか、それとも開口から出る低音さぇ、空振りが多くて耳まで届かないのか?
測定してみないと判りませんが、多分ユニットがホーンを駆動しきれてないのでしょう。
中高音がシャカシャカ五月蝿いので、視聴を続ける気力も無くなりました。
空気屋の容量調整(減らす)を行ってみて、改善されないようなら、ユニットをW2-802SDに変更してみようかと思います。
測定
直接床に設置し、軸上50cmで測定しました。

何と400Hz以下ダラ下がり、125Hz以下はストンと落ちてしまってます。
これでは、上記の視聴結果も肯ける測定結果です。
空気室に150g分の小石を入れて調整後の特性

ほとんど変化なし。
ユニットをW2-802SDに変更後の測定

此方は100Hzまでレスポンスが有るし、125Hzのディップを見るとバックロードホーンらしい特性です。
その状態でユニット軸上10cmでの測定

その状態でホーン開口10cmでの測定

ホーン自体はホーンとしての動作を行っているが、能率が低く十分な働きを行っていない。
(トーンコントロールを使用して低音を補った場合、ユニットの振れは小さくなっている事からも判る。)
5cmと言うサイズから考えると、もう少しカットオフ周波数を上げた方が特性自体は良くなると思われるが、中低音の補正がかかるだけで、本当の低音は出なくなる。
そこで結論。
何をやっても5cmでは低音の再生限界が有るので、無理せず小さい箱に入れ、近距離で使用するのが吉。
やれやれ、、、。(満足度50点)
ルックスや構造は悪くないと思うので、10cm程度のユニットで再挑戦したい気持ちです。
ただ、その場合、台のサイズが巨大になりそうなので、設計は難しいかなぁ、、、。