FE88ES-Rバスレフ


設計
フォステクスの新型8.5cmユニット、FE88ES-Rは意欲的なユニットです。
コーン紙の抄き方、ボイスコイルの材質等、あたらな挑戦を行っています。
成果は確実に出ている様で、前作とは別のユニットに成りました。
前作のFE88ESは、バックロードホーン専用で、やや線が細く、デリケートな感が有りました。
今回のES-Rは、力強くなり、低音も出るようになりました。
フォステクスの視聴会での感想では、バックロードホーンで使うなら、中低音の補強(ロスの削減)は、やや控えめにした方が良いと思います。
一方、前作では苦しかったバスレフでの使用も可能で、中高音の質の良さを楽しむには此方で充分。

そこで、今回はバスレフでコンパクトなスピーカーを作って見ようと思います。
メーカーの推薦箱は図面に記載漏れが有り、正確には分かりませんが、容量は約4.5リットル、ダクトの表面積は19.5平方cm、長さは9cmだと思います。
此処から計算して見ると、focは130Hz、Qocは0.565、fdは98Hzになります。
視聴の感じでは、もう少し低音が欲しい感じがします。
音だけで言うなら、容量はこのままで、ダクトの効きを強くすれば良いと思います。
効きを強くすると、ダクトのサイズが大きくなり、それを収納するキャビネットの大きさが大きくなってしまいます。
それでも、サブロク半分で2本とれるので、この選択も十分あります。
もう一つのアプローチは、箱のサイズを小さくして中低音の量を増やす方法が有ります。
当然、さらに低い音は出なくなりますが、メーカー推薦箱自体も100Hz以下は諦めているので、今回は此方の方法で行きます。

箱のサイズは幅140、高さ240、奥行き225mmとしましたが、これは最近購入したテクニクスのミニスピーカーSB_M01とほぼ同じ大きさになります。
実は、このスピーカーと変わらないサイズ(136x224x213mm)にしたいというのが、箱の大きさを決定付けています。
容量は3.8リットル、focは134Hz、Qocは0.58、fdは96Hzとなります。
メーカー推薦箱でも、そうでしたが低音不足は確実です。
もしかしたら16cmウーファーでスーパーウーファーと組み合わせて使うかもしれませんが、このままでも実用になると思います。

90x60cm、厚さ15mmのシナベニア板で2本を切り出します。
ダクトが後ろ向きに付いているのは、あまり吸音材を使いたくないからです。
前に持ってきた場合、箱の中から漏れた中高音が直接耳に入ってくるので、吸音材をいれた方が無難です。
ダクトを背面に持っていくと、中高音の漏れは、あまり気にしなくても良くなります。
バッフル板が側板で挟む構造に成っていないのは、FE88ESRのフレームサイズが112mmとなっていて、110mmのバッフルだと、フレームが側板に重なってしまうからです。(見た目も悪い)
余った板は補強に使いますが、どこを補強するかは、組み立てる時に決めます。

図面を見る

組み立て
今回はパーツの数も少ないし、小さいので箱の内部の塗装も行うことにしました。
油性のラッカーの2度塗りですが、パーツの接着部分も塗ってしまうと、木工ボンドの効きが悪くなるので、その部分は15mmのマスキングテープでカバーしておきます。
普段使用しているラワン合板の場合、効果は大きいのですが、今回のシナベニア合板の場合でも、多少は効くと思います。

組み立てって言っても、今回は非常に単純で小さな箱ですので、問題は有りません。
木工用ボンドで接着していくだけです。
今回は小さいので、釘を使わず、ハタガネだけで固定しました。

ユニットの取り付けも、いつもの様にT字ナットを使用します。
取り付け穴に余裕が有るので、前作の様にT字ナットを金属ハサミで切断する必要も有りません。
ついでにユニットの取り付け穴をヤスリで広げて、音の通りを良くしました。

折角のシナベニア合板ですので、塗装は水性ニスを使用します。
全体を120番>240番のペーパーで平らにした後、ニスを数回重ね塗りします。

ターミナルは、フォステクスの新型T150Bを使用しました。
このターミナルは、ケーブルとの接点部分を銅にしたタイプで、経年変化が心配ですが、一度は使って見ようと言う事です。
内部配線は、通常の小判型のケーブル(2.0スケア)、ユニットとの接続はファストン端子を採用します。
グラスウールは使用しません。
なお、ユニットの取り付け穴は直径90mmの真円では、取り付けられません。
写真の様に端子の部分を削っておく必要が有ります。
この辺が説明書に書いていないのは、問題では無いかなぁ、、、。

視聴結果
多くの自作スピーカーの場合、鳴らし始めは、イマイチというのが当然なんですが、今回のスピーカーは、最初から良い音で鳴っています。
中音の情報量も、不足している感じは無く、最高域の伸びも充分に感じられます。
問題の低音は、まぁサイズなりってところでしょうか。
トーンコントロールでの補正や、サブウーファーの追加は有効だと思いますが、このまま使っても、なんとか大丈夫だと思います。

音調は、前作のESに比べると線が太く力強くて、クールな感じも減少しています。
フルレンジの場合、ツィーターを使用したシステムとの比較で不満に感じることの多い高音の質も非常に高いです。
また、FEシリーズの特徴の紙臭さも、殆ど感じないので、メーカー製の高級ミニスピーカーの様な音がします。

フェイク83(フォステクスFE83使用)との比較を行うと、能率もかなり高く、高音の伸びで大きな差を付けます。
低音は少ない目ですが、中低音の量は変わりません。
負けていると思うのは「女性ボーカルの色気」の表現ですが、この辺がエージングで解消される事を期待しましょう。

測定結果と自己採点
完成サイズは幅140、高さ240、奥行き225mm、重さは3Kgと軽量です。
サイズが小さいので、補強は少ない目でしたが強度は充分だったと思います。
ボリュームを上げても、強度よりは自重の不足が先に問題になりそうですので、錘を置くのは有効です。
ダクトからは盛大に中高音が漏れて来ていますが、正面で視聴する限り気になりません。

測定は60cmの台に載せ、ユニットの軸上50cmで行いました。
測定で使用したのはベリンガーDSP8024とEMC8000です。
ピンクノイズを発生させ、ピークホールドした値となります。
ディスプレイ上のドットとドットの間は3dBと設定しました。

特性はカタログに載っているメーカー推薦箱(バスレフ)に良く似た形です。
100Hz以下が、バッサリ落ちる潔い形で、高音の伸びは流石と言えます。

塗装の下手さは相変わらずですが、音に関しては大満足です。
サブスピーカーに使うのは惜しい実力が有り、満足度は85点です。


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