設計
マーキュリーのウーファーは安くて良いのですけど、高音の伸びがイマイチ。
昨日使用したSWD160は、何とか5KHzまで使えましたが、今回のHWG130DPは13cmのクセに16cmウーファーに負けています。
まぁ、分割振動の排し方が、SWD160より徹底していると言う事で、質に関しては期待できます。
マグネットサイズは直径100mm、厚さ20mmの2枚重ねと超強力、フレームもダイキャストで上級機種らしい雰囲気が有り、ルックスは抜群と言えます。
ただ、コレだけの重さ(2.2Kg)を支えるには、4本ネジ(しかも細い目)では不安が有ります。
3ウェイは、13cmウーファーには大げさなので、下から使えるツィーターとしてフォステクスのFT28Dを選択しました。
このツィーターは初めてテストしましたが、下級機のFT27Dに有る下品さが無くなり、明るい高音が、かなり気に入りました。
音調的には、もっと前に出るタイプが合っている様な気がしますけれど、2KHzから使える製品は他には無いし、箱の設計の方で何とか出来るかなぁ。(FT48Dも有るが、大きさが大きくてデザインが合わない。)
今回は、ツィーターの耐入力、ウーファーの高音の伸びから、仕方なく12dB/octを使用します。
何時も安上がりの6dB/oct(もしくはスルー)ってのもナンだし、偶にはネットワークにお金をかけても良いかと思います。
そこで、何時もならウーファーの高域へかけてのインピーダンスの上昇を考慮し、大きい目のコイルで済ます所を、今回はインピーダンス補正回路を入れます。
ネットワークに関しては、完成後に変更する可能性が高いです。
メーカー推薦容量は10〜22リットルですが、これはバスレフでの使用の場合だと思います。
今回は密閉型で行こうと言う事で、気にせず設計します。
foが低いので、6リットル程度で使ってもfocは50Hz前後、Qocは0.4前後になるので、この程度で良いでしょう。
さて、前回MS4301では、見かけも普通、中身も普通で成功したので、今回は見かけは普通だけど、中身が凝っている構造にしました。
別の言い方をするとMS4301は長岡系でしたから、今回は非長岡系で行きます。
「背板を斜めにして、対向面を減らす。」「ネットワーク部分を分離する。」「ツィーターのバックキャビティを用意する。」「ウーファーを箱で支える。」等、様々な要素を限られた板(15mmサブロク一枚)でやりくりしたのが、今回の設計です。
天板、底板を除く部分は2枚重ねです。
ユニットを支える柱は空気抵抗を気にしたフリをしたピラミッド型で、側板の補強にもなります。
天板はツィーターのバックキャビティでも補強されており、箱全体の強度は、かなり高く成る筈です。
底板の補強が無いのは、購入して十年は眠っていたラスクと呼ばれる金属の吸音材(低音を吸うらしい)を貼り付ける為です。
ターミナルは、背板に取り付け、背板は、T字ナットで、取り外しが出来るようにします。
これは、ネットワークの変更が後々、出来るようにする意味も有ります。
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組み立て
今回の板材の発注は、某所で行いました。
板材の到着まで2ヶ月と言うのは、何とかしてもらいたいモンですが、精度は流石で値段だけの事は有ります。
直線の精度は非常に高く、仮組みした段階で判ります。
板の材質はフィンランドバーチを使用したので、パーツ一つ一つを叩いて見るとラワンに比べると乾いた高い音がします。
木口も奇麗なので、今回は木目を隠さないニスでの仕上げを想定して、釘を使わずハタガネだけで組み立てることにしました。
精度が高い事と、板の厚さが30mm(先に2枚重ねて接着しておく)という事で、ハタガネで締め付けるだけで直角が出ます。
勿論、側板の上で作業し、直角を確認しながらの作業となります。
おっと、その前にユニットの取り付けと、裏板の取り付けの為の穴を空けて、T字ナットを打ち込む作業を行わないといけません。
ドリルで穴あけを行う場合、垂直を出す為に専用の工具を使用していますが、これを使用しないと、かなり斜めに穴が空いてしまい、深い穴で有れば有るほどズレが生じます。
ズレが生じると、必要以上に大きな穴を空けて、遊びを大きくする必要が有ります。
組み立て自体はカットが正確なので、木工ボンドは少ない目で接着していけました。
側板を繋ぎ、ユニットを支える棒は4枚の板を接着後、水中ボンドで段を埋めました。
これは、キャビネット内部の平行面を減らす効果と、棒自体のダンプを兼ねていますが、どの程度の効果が有るかは微妙です。
斜めに接着する背板に関しては、仮組みの段階で2枚の板が、どの程度ずれるかを確認しておき、予め接着します。(間にブチルゴムは使用しなかった)
側板を挟む前に、ツィーターとウーファーの配線を行っておかないと、後では大変です。
ケーブルと同じ程度の穴を空けておき、ケーブルを通した後エポキシ接着剤で隙間を埋めます。
今回は5.5スケアのキャブタイヤケーブルを使用しました。
この様な太いケーブルを使用する場合、ターミナルに負荷がかかるので、ケーブルの遊びを考えておく必要が有ります。
ウーファーはともかく、ツィーターの配線は厳しいので、写真の様に、ケーブルを逃がしておくようにしました。
ユニットを支える棒は、現物あわせて位置を決めて固定の後、側板を張り合わせれば完成です。
側板の貼り合わせも、オモリを置くだけでは弱いので、ハタガネで強力に圧着しました。
直接ハタガネでキャビネットを締め付けると、ハタガネの型が付くので、余っていた木を使う事になりました。
塗装
カットの精度が高かった事と、釘を使わなかった事も有って、下処理は簡単に出来ました。
何時もの様に120番〜400番までのペーパーを順番に当てていくだけです。
パテや何かで穴を埋めてあったりした場合は、ペーパーで削るのは大変ですけど、今回は表面を滑らかにするだけでした。
その後は、油性ニス(ローズ)を数回に分けて吹き付けます。
完全に乾いてから行うべきですが、急いでいたので手で触ってペタペタしなくなったら吹き付けました。
その後、ペーパーを当てますが、この直前は完全に乾かした方が良いので数日空けます。
400番のペーパーを全体に軽く当て、デコボコが感じなくなったら、透明の油性ニスを吹き付けて完成です。
今回は木目が奇麗なフィンランドバーチ材ですので、生かす塗装にしましたけど、その割にはムラが多くて、出来はイマイチって感じです。
ユニットの取り付けはファストン端子を使用しました。
これはユニットの交換を行う可能性が有る事と、塗装をやり直す可能性などを考慮した物で、普段はハンダ付けをしています。
ユニットの取り付けの直前に、ちょっとしたミスに気付きました。
ウーファーの後方を板が支える構造になっていますが、この為にウーファーの後ろに空いた息抜きの穴を塞いでしまう事になります。
何となく気持ち悪いので、支える棒に溝を掘って、空気を逃がす構造にしました。
ウーファーを取り付ける時には、0.3mmのゴムシートを挟んで、強固に支える棒と連結する事に成ります。
ネットワークの変更
ウーファーのHWG130DPをHWG130Kに変更しました。
HWG130DPのインピーダンスが6オームだった事に起因します。
しかし、結果的にはルックス的にも音質的にも正解でした。
ネットワークの調整は難しい所が有ります。
使用したウーファーには2KHzあたりにピークがあり、このピークを利用しないとツィーターと繋がらないという問題が有ります。
教科書どおりにウーファーのインピーダンス補正を行い、2KHzのハイカットを行った場合は1.5KHzあたりからストンと切れます。
ベストはツィーターに1.5KHzまで頑張ってもらう方法かもしれませんが、耐入力を考えた場合2KHzまでにしたい所です。
今回は、ツィーターは2KHzでカット、ウーファーは補正回路を省略、2KHzのピークを利用する事になりました。
この方法の場合、2KHz〜3.5KHzのレベルが高いので、ツィーターとのダブリが多くて、音が濁る可能性があります。
ウーファーのコイルはトリテックの1.2mH、コンデンサーはトリテックのQS8.2uFとフォステクスのUシグマ1.0uFのパラ。
ツィーターのコンデンサーはフォステクスのCS1.0uFとUシグマ4.7uFのパラ、コイルはトリテックの0.68mH。
ツィーターのレベルが高いので、固定式の-3dBのアッテネーションを行ってます。(トリテックのセラミック抵抗2オームと20オームを使用)
この状態で、箱の後ろのスペースに入れる事に成ります。
1mm厚のゴムシートを敷いて、その上に置きます。
二つのコイルの中心には、取り付け穴がついていますので、そこに磁性体でない真鋳のモクネジでゴムシートごと取り付けました。
ターミナルへの配線が終われば完成です。
完成サイズは幅22cm高さ32奥行き29cm、重さは12Kgとズッシリと重く、密度の高さを感じます。
視聴
最初に鳴らした瞬間から、密閉型の良さが感じられます。
バスレフ型では、気になるボーボーとした共振音が無く、実に緻密でシッカリした低音が出ました。
質は良いのですけど、量は少ない目で、もう少し内容積を減らした方が良いかも知れませんけど、しばらくはこのままでエージングの進行を待とうと思います。
苦労した甲斐が有り、ツィーターとの繋がりもスムーズで、違和感が有りません。
ツィーターのスピード感に付いて来られるか心配したウーファーのスピード感も良く、テスト箱で鳴らした時とは別次元の反応の良さは、箱の強度から来る物でしょう。
フォステクスのフルレンジに多少残っている中高音のコーンと言う音(紙臭さ)も全く無いので、ジャンルも選びません。
一言で言うと静寂感の高いスピーカーで、私の作品では珍しい音色です。
中低音の分解能に、やや不満が有りますけど、エージングが進めば良くなる事を期待しています。
測定結果と自己採点

40cmの台に乗せて、ウーファーとツィーターの中間60cm。(2002年05月08日更新)
特性上は高音のレベルが低いように見えますが、視聴上はややハイ上がり。
ネットワークを箱に入れ、蓋をちゃんと閉めると、中高域の特性が良くなりました。
ルックスは、ややズングリしているので、「ファットボーイ」と命名。
ユニットの配置バランスは良く、ルックスは中々良い。
悪く言うと喧しいスピーカーが多い私の自作スピーカーの中で、珍しく上品に鳴るスピーカーで、使い分けには良い感じ。
グラスウールを入れてみる等の箱の調整を詰めれば、相当良いスピーカーに成りそうな予感も有ります。
費用は二本で約10万円と結構かかりましたが、出てくる音は、それに恥じない内容で満足度は85点と言う所です。
2002年05月08日 更新
低音の量感が不足しているので、内容積を調整しました。
家に有ったユニットの切り抜き板を積層して、キャビネット内部に貼り付けます。
これで0.5リットル程度の容積を減らした事に成ります。
同時に少し吸音材を入れました。
これは東急ハンズで販売していたポリウレタンフォームで50x50cmで450円。
それを底板の一部、裏板の一部、天板の一部に貼り付けました。
2002年05月23日 更新
さらに、内容積を調整しました。
ホームセンターで小石を購入、それを一週間ほど乾かした物を布で包んで箱の中に入れました。
片チャンネルあたり、1包み250gを2袋入れ、これで更に0.7リットル程度は減った計算です。
内容積は4.5リットル程度になりましたけど、一般的な量感と質のバランスを考えると、まだ大きすぎる感じです。
キャビネットが強靭で、箱鳴りによる低音の量感アップは期待できない(していない)状況では、この程度まで小さくする必要が有りました。
それなら、最初から小さく作れば良かったで、満足度は80点に下げておきます。
特性は、次回のアッテネーターの値を変更した段階で取り直してみたいと思います。
2002年05月28日 更新
アッテネーションは、10オームと3.32オームの固定抵抗で、約-5dBまで絞る事になりました。
ボリュームを上げてもウルサクならず、トーンコントロール無しでも何とかOKです。

前回の低音の盛り上がり(70〜80Hz)は、外部ノイズだったらしいので、今回は測定音量をかなり上げて見ました。
低音の落ち方は、此方の方が正確だと思います。

