設計
私のAVシステムは、普通の29型テレビとミニコンポのアンプ部の組み合わせです。
スピーカーはフロントがメーカー製のミニスピーカー、リアが長岡氏設計のクレーン(フォステクスFE107使用)で、スピーカーマトリックスで鳴らしていました。
ところが、リアスピーカーのクレーンが、ピュアオーディオ用に取られてしまった(ユニットはフォステクスFE103Mマグネット強化)ので、現在は単なるステレオで使っています。
そこで、リアスピーカー不要のマトリックススピーカーをAV用に新調する事にしました。
使用ユニットは、最近発売されたフォステクスのFE-Eシリーズを使用、同じユニットを並べたマトリックスが無難ですが、面白くないのでFE107EとFE87Eを使います。
この新しいFE-Eシリーズは、高音が伸びているが、力が無く、密度が低く、イマイチなのですが、私のAVシステム(って言えるのか?)には、大丈夫でしょう。
カタログを見ると「バックロードホーンでもOK」とかかれていますが、デリンジャー(FE87でのバックロードホーン)の経験からも分かるように、負荷をかけると、更に分解能が落ちる事になります。
サイズも大きくなりますので、通常のバスレフ型で設計します。
超低音は望めませんが、現在のAVシステムも出ていませんし、それ程必要も感じていません。(望むレベルが低いことは確かです。)
さて、ここで問題が一つ。
現在、29型のテレビを大きな自作ラック(幅110cm高さ77cm奥行45cm)に入れているので、その隙間しかスピーカーを設置できません。
両サイドに置くにしても、上に置くにしても、スピーカーの幅は14cm以下に抑える必要が有ります。
上に置く場合の高さの上限は50cm(110/2)程度でしたので、色々図面を引いて見ましたが、サブロク1枚では大量に余り、半分では足りないサイズになります。
そこで、何とかサブロク半分で2本取れるように、容量を妥協しました。
FE107Eに対してはメーカー推薦容量と同等の7リットル、FE87Eに対しては、かなり少ない3リットルとなりました。
もっとも、FE87E側には、差信号しか入らない使用方法になる可能性が高いので大丈夫でしょう。
完成したスピーカーは、一応、FE107Eのダクトを左右で合わせて横に並べた状態でテレビの上に置くことになります。
普通にテレビの左右に置く可能性も有りますし、結線で遊べるように、FE107EとFE87Eには、それぞれターミナルを付けておきます。
1:FE107EをLとR、FE87EをL-R、R-Lで使用する。(標準使用)
2:FE107EとFE87Eを単純にパラレルで使用する。
3:FE107EとFE87Eの2ウェイとして使用する。
4:FE87Eをツィーターに見立てて、それだけをマトリックスで使用する。
など、様々な使い方が考えられます。
図面を見る
組み立て
今回使用した板材は、12mmのちょっと使ったことの無い物です。
一応、ベニアの合板なのですが、床とかに使用する安物で、表面を黄色の塗装がされています。
ラッカー系で多少は防水の効果もある物で、叩くと「コツコツ」とダンプされた音がします。
通常の12mmラワンが90x90cmで1,580円なのに対して、180x90cmで1,280円と言う値段にひかれて決定しました。
着色された方をボックスの内側にすれば、内部を塗装する効果が有るから都合よいと思いましたが、木工ボンドが染み込まずに接着できないので、結局外側が黄色になりました。
何時もの様に、仮組み立てをして見ると、カットの精度が良くありません。
今回は、「とにかく安く」と言う事で、東急ハンズではなく、ベターライフでカットした為、ミリ単位の狂いが有ります。
もっともカット代金は2本で200円と東急ハンズの1/5ですから贅沢は言えません。
オーディオ用なら、きっちり修正してから組み立て始めるのですが、今回は、そのまま組み立てました。
時間もかけたくないので、ボンドも速乾性の黄色いタイプ、釘も使わずガシガシ組み立てましたが、特に難しくは無いです。
吸音材は、設計時とは異なり、写真の様に付けました。
相当、安っぽい黄色なので、塗装しなければいけないのでしょうが、このチープな感じが私のAVスピーカーとして適している感じもしています。
塗装
と、言う訳で、塗装は行わずに、このまま使う事にしました。
ターミナルも安物で、箱の作成費用はカット代金を含めても、片チャンネル1,000円を切っていると言う事になりました。
視聴
先ずは、普通のスピーカーと同様に高さ20cmの台に載せ、ステレオで視聴してみます。
FE87E単独の音は、中高音は出ているものの、低音が寂しく、その割に中低音が濁ると言った、ちょっとオーディオ的には厳しい音です。
一方FE107E単独では、バランス良く鳴ります。
シャープでもソフトでもなく、ワイドレンジでもなくナロウレンジでもないと言う、悪い言えば特徴の無い音です。
ただ、以前旗で鳴らしたときに比べると、ふっくらとした暖かさが有り、悪くありません。
FE87EとFE107Eを並列つなぎにして鳴らして見ましたが、これがFE87Eが鳴っているのが分からないほどで、手で触って確認しました。(よく聴くと、音が濁る。)
カタログスペックでは能率差が1dBという事ですが、3dBできかないのではないでしょうか。
そこで、設計時に予定していた実験をしてみました。
FE107Eをウーファーに見立て、18mHのコイルを使って高音をカット、FE87Eは、スルーで使って2ウェイにして見ました。
これは成功、低音が出すぎるぐらい出ており、FE87Eが低能率なのかFE107Eが高能率なのか分かりませんが、とにかく「FE107Eがスーパーウーファーに使えるやん。」と言う感じです。
ボリュームは上げられませんが、黙って聴くと20cmウーファーのシステムが鳴っているのと誤解する程度の低音は感じます。
肝心のクォリティは、箱がボンボン鳴っているのが感じるので、高いとは言えません。
ただ、このバランス(低音がタップリ)は魅力なので、もう少し強力な箱に入れて2ウェイにすればオーディオ用にも面白いかもしれません。(FE83E+FE103E?)
さて、いよいよ目的どおりにマトリックス結線にしての視聴です。
先ずは、当初の予定通りにテレビの上に横に並べて鳴らしてみましたが、大失敗です。
音の広がりやサラウンド効果は良いのですが、映画の台詞がテレビの上から聞えてしまって具合がよく有りません。
仕方が無く、テレビの左右に普通のスピーカーの様に並べて使う事にしました。
それでも、FE87Eから上方にばら撒かれる差信号が、サラウンド効果を作り出し、普通のステレオとは一味違う音場が形成されます。
オーディオ用としては気になった、中低音のボンツキも気にならないどころか、雄大なスケールで成るのには、感心しました。
測定結果と自己採点

20cmの台に載せた状態で、FE107Eを単独使用、FE107Eの軸上60cmにマイク
中低音はタップリ、高音も賑やかな事が分かります。
AV用としては良い特性。

20cmの台に載せた状態で、FE87Eを単独使用、FE107Eの軸上60cmにマイク
150Hzの大山は、容量不足の為と思われるので吸音材を足した方が良いかも。
マイクがFE87Eの軸から45度はズレているので高音は低下しているが、それでもかなり元気の良い高音(デコボコ)が見てとれます。

FE107Eに18mHのコイルを入れ、高音をカットした時の特性。
FE87Eの能率に比べるとかなり高いレベルで低音が出ている。

FE107E(18mH)+FE87Eの2ウェイ、床に直置きし、1.5m離れ胡座をかいた高さにマイク
視聴上のバランスは悪くなかったが、特性的には、低音が出過ぎ。
FE87Eの軸上から外れているので高音は、かなり落ちている。
マトリックス結線での接続の場合、特性的には最初の特性に近いと思われるが、FE107Eの単独ステレオに比べると、優しい高音が聴き取れ、AV用としては成功です。
塗装が無いのと、設計当初の使い方(テレビの上に横並べ)が悪かった事もあり、自己採点は70点でしょうか。
なお、FE107EとFE87Eを同時に鳴らした時の特性は、FE107E単独とほとんど変わらないので省略しました。

