ミニスピーカーの元祖(?) テクニクス SB-30

「スピーカーってのは大きい程良いのはアタリマエ」と言う時代が有りました。
基本的に正しいのですけど、当時はメーカー側の売る為の方便として使われていましたので、誉められた物では無かったのです。
システムコンポ付属のスピーカーでも38cmウーファーを無理矢理取り付けた3ウェイ等が幅を利かしていました。
音の方は迫力が有り大雑把でしたが、それなりの魅力は有りました。
一方、置き場所の事を考えた場合、スピーカーは小さいに越した事は有りません。
実際、低音の事を考えなければ、小さくても十分なのです。
メインスピーカーを巨大なスピーカーにした場合、気軽に聞くという気分には成れない事も有り、サブスピーカーとして小型のスピーカーの需要が有ったのは当然でしょう。

私の知る限り、オーディオ用のミニスピーカーの元祖と言えるのが、今回紹介するテクニクスのSB-30です。
私がオーディオを始めた頃に発売されたスピーカーなので発売は昭和50年辺りだと思います。
定価は一本7,500円と今の感覚では安いかもしれませんが、当時はサブスピーカーに買うには、とても手が出なかった思い出が有ります。
サイズは幅103、高さ181、奥行き127mm、重さは1.5Kgです。
9cmフルレンジの密閉型で再生帯域は50Hz〜20KHz、インピーダンスは8オーム、能率は92dB(0.5m、1W)で最大入力10Wです。
フルレンジは直径70mmのマグネットを使用した強力な物で、フレームは鉄プレス。
エッジは軟質発泡ウレタンですが、何故か見た目からは劣化は感じられません。
キャビネットは突板を使用した豪華な物です。
バッフルは黒のレザーが貼ってあり、サランネットはアルミフレームの中にはめ込む形になっています。
サランネットは板にユニットの大きさの穴をあけたシッカリとした物で、ネット自体も太い繊維を荒く編んだ手のかかった物です。
ネットには「Technics」のロゴのエンブレムが誇らしげに付いています。
ターミナルはネジ式の昔ながらの物で太いコードを使用するには苦労します。
本体を入れる箱は蛸糸で縛るタイプの懐かしい箱で、何と一台一台収められています。
今なら間違いなく、二台一組での梱包と成るでしょう。
全体として非常に手間がかかった製品で、今作ったら倍できかないのは確実です。

さて、肝心の音の方は流石に厳しい感じがします。
一聴してハイ落ちで低域もカタログスペック程では無いですし、情報量も不足気味。
現在発売されているテクニクスのミニスピーカーSB-01と比較するのは酷と言うものです。
しかし、鳴らしているうちに、欠点が気に成らなくなってくるのは不思議です。
現代の一部のミニコンポに付属するスピーカーとは異なり、嫌な音が出ない為でしょう。
トーンコントロールで高音を少し持ち上げてやると、今でも十分に通用します。

このスピーカーにはオーディオマニアがサブシステムとして使う用途をとして開発された素性の良さがあります。
当時の技術者の良心を感じる事が出来る名機だと思います。








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