マーキュリーツィーター群 テスト


国産でユニットを販売しているのはフォステクスだけかと思いきや、マーキュリースピーカーと言う所でも扱っています。
通販による直接販売、宣伝をウェッブを中心にしている事、中国での生産等、コストダウンを図っており、コストパフォーマンスは高いユニットが目白押しです。
今回は、ツィーターを3種類テストして見ました。
もっともローコストなシリウスシリーズの中からSED35(2,900円)。
中堅のハイファイシリーズからHFD35(2,250円)。
上位のヘラクレスシリーズからHDT30(5,900円)。
中堅のHFD35の値段がSED35より安くなっていますが、コレは後継機として新型の登場が予定されているからで、以前は中間の値段でした。

左からSED35、HFD35、HDT30

マーキュリーのウーファーは、丸型フレームに黒色が多いのに、ツィーターは左から角型黒、丸型シルバー、丸型シルバーと統一性が無いのが謎。
フレームは全て樹脂製で、軽い(全て30g)。
ドームの直径は28mm、マグネットサイズは直径70mm、厚さ10mmで共通か?。

左からSED35(裸)、HFD35(裸)、HDT30(裸)

フレームを外して見ると、微妙な差が現れます。
磁気回路も共通と思われますが、振動板を取り付けている樹脂の形状と材質が異なります。
SED35はヨークに貼られた直径65mm、厚み2mmの黒い樹脂に振動板を接着し、それをフレームで挟みこんであります。
HFD35は42mm、厚み1.5mmの白い樹脂に振動板を接着してあり、フレームはその樹脂を挟まず、直接ヨークに取り付ける構造に成っています。
HDT30はSED35と同じ大きさの黒い樹脂に振動板を取り付け、その上から厚み1.5mmの樹脂を接着して、この段階で振動板を挟み込んでいます。
前の2つは、振動板を前からフレームで挟み込んでいたのに比べると、多少手間がかかっています。
黒や白の樹脂の厚みの関係で、フレームを磁気回路に固定するネジの長さが異なり、それぞれ5.5mm、6.5mm、9.0mmと差が出ます。(ネジの頭含まず)
振動板を上から押さえつける場合、フレームで押さえるのが良いか、予め別のモノで押さえつけるのが良いかは分かりませんが、振動板と磁気回路の距離は気になります。
HFD35が1.5mmで一番近いので、振動板が同じ(ボイスコイル等を含む)とするなら、一番磁気回路にめり込んでいる筈です。
この0.5mmをヨークの構造で吸収しているのか、どうかは分かりませんが、音に差が出てくる可能性は十分に有ります。

視聴は、ウーファーをSWD160を20リットルの密閉箱に入れた物に固定しました。
ウーファーはスルーにし、ツィータをプラスすると言う形で行ないました。
ツィーターのローカットはコンデンサー4.7uF一発、ウーファーはスルーで鳴らしているので、クロスオーバー部分が、かなりだぶる事になりますけど、ツィーターの差を見るのには良いでしょう。
元気で暴れん坊なSED35、大人しいHFD35、透明度勝負のHDT30と言う感じです。
仕様ではSED35が一番能率が低いのですが、音は大きく張り出してきます。
中高音に分厚さが有り、下から使える印象です。
HDT30はSED35を高音側にシフトさせたキャラクターで、下品さがやや後退しています。
HFD35がSED35やHDT30とは別シリーズの様な鳴り方で、上品で大人しい印象です。
3機種とも、同じ様な振動板に磁気回路なので、同じ様な音がするのでは無いかと思いましたが、予想以上に差は有りました。
SED35を基準とすると、HDT30は上品さ透明度アップ、中高音の力感は後退しています。
力感は後退したとは言え、エッジの立ちはシッカリしており、SED35の上級機である事が頷ける印象です。
ただ、今回の様に下から鳴らすよりスーパーツィーター的に使った方が透明度が生きるかもしれません。
HFD35は別のシリーズの様な成り方です。
SED35やHDT30は「ホーンツィーター」の様な押しの強さが有りますが、HFD35は上品で大人しく、「いかにもドーム」と言う感じです。
メーカーのウェッブでは「SED35がマイルドでHDT35がシャープ」と言う表現が使われているのは謎です。

さて、測定の方です。
ツィーターに4.7uFを入れ、軸上30cmで行ないましたけど、全体の傾向は似ています。
フレームを外して、それぞれを測定すると、更に似ているので、フレームの差が音の差に現れている部分も大きいと思います。
フレームを付ける(つまり普通に戻す)と下の方(8KHz以下)のレベルがアップします。
しかし、アップの仕方がそれぞれ異なるのは形状によるものでしょう。
フレームを入れ替えて視聴&測定は、形が微妙に異なるため取り付けられませんでした。

SED35特性


HFD35特性


HDT30特性


SED35特性(裸)


HFD35特性(裸)


HDT30特性(裸)

ココまで進んで、何となく分かってきた事が有ります。(<さっさと分かれよ!)
1:ドームツィーターとしてHFD35を開発
2:HFD35ベースに上級機種として切れやスピード感をパワーアップしHDT30を開発
3:HDT30ベースにローコスト版として下から使える様にSED35を開発
4:HFD35が古くなってきたので新ユニットとしてHFD30を発売予定
5:SED35の弱点を埋めるマイナーチェンジで新フレームSED35発売予定
6:新フレームSED35のクォリティアップでHDT30の存在ピンチ(新型開発中か?)
マーキュリーのユニット開発史は知らないのですが、音から考えると、こんな感じかな。

HFD35のドームらしさも捨てがたいし、HDT30の透明感も捨てがたいですけど、「下品さを我慢してSED35を買っておけ!」と言う結論にしておきます。
ところで、SED35のネジ穴は小さい目ですが、他の2機種は、もっと小さくて弱点に成っています。(マーキュリーのユニット全般に言える弱点)
新フレームのSED35や、新型リングツィーターHFD30では、それらの欠点が直っていると良いな。


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